Q&A

1年生のみなさんへ2010(日本文学分野)

◎はじめに

 1年生のみなさん、こんにちは。日本文学専攻3年の小嶋です。今年も専攻決めの季節がやってきましたね。不安に感じている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、私たち日本文学専攻に関する、みなさんからの疑問・質問にお答えしたいと思います。これを読み終わる頃には、あなたもきっと日文に来たくなるはずです!!

 

 

Q.それぞれのゼミの内容について教えてください。

A.日本文学専攻には3人の先生方がおられ、それぞれの先生のゼミがあります。

 

○渡邊秀夫ゼミ

 前期のゼミでは、変体仮名を読む練習を行います。変体仮名を読めるようにすると共に、平安時代の文化背景の理解を深める事が中心となります。また、漢文・漢詩といった漢籍を読む事もあります。毎週配られた課題を読み、授業で読み合わせをしていきます。初めは全然読めなくても、回数を重ねることで、自然と慣れて読めるようになります!たまに癖の強い字だと読めないこともありますが・・・・。

 後期は一つの文学作品を取り上げ、それについて自分たちなりにテーマを設定し、発表を行います。今年は『源氏物語』をテキストとして扱っています。『源氏物語』は誰もが知っている通り、紫式部によって著された、平安時代を代表する文学作品です。今年は各自で翻字はせず、現代語訳付きの注釈書などを用いて、それぞれ自分なりのテーマを設定し、発表へ向けて準備をしていきます。ちなみに、今まで扱った作品は、『土佐日記』、『枕草子』、『百人一首拾穂抄』等です。

 一度は名前を聞いたことがある作品でも、各々テーマを設定し考察していくことで、それまで知らなかったことを発見し、理解を深めていくことができます。テーマによっては、他の文学作品や漢籍を扱うこともあり、発表の準備に多くの時間を必要としますが、とてもやりがいのあるゼミです。

 

○渡邉匡一ゼミ

 このゼミでは、中世の仏教説話集を扱います。前期では、『今昔物語集』の中から考察したい1話を選び、古典文学全集や辞書、研究論文を参考にしつつ、自分で語釈をつけ、各自好きなテーマで考察します。今まで扱われたテーマは鬼・妖怪、天皇、歴史に名を残した著名な人物、和歌など様々で、興味があることならば何でも挑戦出来ます。このゼミでは先輩が指導につき、色んな資料を使って調べる方法や、発表の仕方などを優しく指導してくれ、研究の基礎が学べます。初めて古典に興味を持った人でも、楽しく発表が出来ます!

 後期は、前期に学んだことの応用編になります。長野県諏訪市仏法寺で発見された『沙石集』の1話を翻字し、語釈をつけ、訳して考察していきます。慣れないくずし字を読んだり、知らない言葉に自分の力で辞書などを駆使しながら語釈をつけたり、話をわかりやすく訳したりと発表までの準備は大変ですが、やりがいは大きいです。

 匡一先生のゼミでは、自分で勉強すればするほど、面白くなっていきます。勉強は遊びです。物語や昔話が好きな人はぜひ来てみてください。

 

○松本和也ゼミ

 松本先生のゼミでは、主に近・現代の日本文学を扱います。また、それらの文学作品の背景となる時代や舞台にも言及して理解を深めていきます。ゼミでは前期・後期とも二度ずつの発表を行っています。

 22年度の前期では、前半で『魂がふるえるとき』という多彩な作家の作品を集めた作品集から各自1作品を選択し、内容把握を中心にしたレポートの企画書を制作し、発表を行いました。後半では明治時代の雑誌『白樺』第2巻内に所収された作品、または明治44年に発表された作品から各自1作品を選択し、先行研究の整理や研究展望の発表を行い、最終的に1本のレポートにまとめました。

 後期ではグループでの発表が中心となります。まず前半では56人のグループに分かれ、武田泰淳の『審判』についてグループごとに疑問点を挙げ、その疑問点に対して他のグループが解答を示すという質疑応答形式の発表を行いました。後半では太宰治『お伽草子』を取り上げ、まずグループごとに先行研究の批判的検討を行いました。その後『お伽草子』を構成する4話の中から1作品を選択し、新しく組んだグループで先行研究のまとめ、課題や新たな解釈点を提示する発表を行います。(扱う作品は年度ごとに変わります。)また、後期には4年生の卒業論文中間発表や3年生の卒業論文計画発表もあります。

 どの発表においても先行研究の整理、そしてそれを踏まえた上でオリジナルの新しい課題や解釈を提示することが求められます。発表回数が多く準備が大変なこともありますが、発表の数だけ作品への新しいアプローチの方法や研究の手法を知る機会があります。

 

 

Q.日文でやっている調査って、どういうことをやるんですか?

A.主に蔵書調査を行います。日文でやる調査には以下のようなものがあります。

・仏法寺調査

 ほぼ毎月行っているもので、匡一先生を中心に、土日に諏訪へ行って仏法紹隆寺の蔵書調査をします。蔵書は様々で、きっと今までに見たことがないものを見られるという貴重な体験ができます。土曜日の夜は、みんなで飲み会です。先生の美味しい手料理がいただけますよ♪

 

・御嶽神社調査

 王滝村の御嶽神社で年3回ほど行います。日本史専攻の山本先生、匡一先生が中心となって行っています。

 

・高美書店調査

 匡一先生、早稲田大学の和田先生が中心となって行っている調査です。松本市にある高美書店の、主に明治期以降の書店史料(手紙、台帳など)を対象にして目録の作成を行います。当時の書店の運営の様子を見ることが出来て面白いです。

 

・旧制高校調査

 旧制高校調査は今年新しく始まった調査です。旧制松本高校は、信州大学の前進となった学校です。現在あがたの森にある旧制高等学校記念館に保管されている思誠寮日誌などを調査の対象としています。来年3月に旧制高校記念館で、調査から明らかになったことを元にした展示を行います。現在は企画展に向けた準備を行っています。大正・昭和期の学生生活が見る事が出来て、新しい発見がありますよ。

 

 このような調査をみんなでワイワイ楽しんでやっています。詳しくは日本文学分野公式ホームページに調査の仕方などが載っているので見てみてください。(決して飲んでばかりではないですよ!)

 

 

Q.日文の資料室はどこにあるんですか?

A.日文資料室は、人文棟3階の一番奥にあります。日文の本拠地とも言えるこの場所で、学生たちは様々な資料を使って勉強したり、おしゃべりしながら息抜きをしたりします。専攻の件で相談があれば、気軽に足を運んでみてください。

 

 

Q.日文のイベントについて教えてください!

A.とっっっても楽しいイベントが盛りだくさんです☆主な行事を順番に紹介していきます♪

 

・新歓

 4月には、日文に新しく入ってきた2年生のために、新入生歓迎会が開かれます。毎年恒例で「いろり」というお店でやっています。ここで2年生は、専攻の先輩達や先生方と交流を深め、日文の雰囲気をつかみます。先輩や先生と仲良くなれるとともに、勉強についてわからない事や不安などを解消できる良い機会です。

 

・秀夫先生ゼミ旅行(乗鞍)

 毎年、一泊二日で乗鞍へ出かけます。乗鞍の清々しい空気の中、散歩に出かけ、ペンションの温泉を楽しみ、フランス料理をいただくことが出来ます。散歩では滝を見に行きますが、山道を登り下りするため、日頃の運動不足を痛感することになります。しかし、美味しいフランス料理と温泉に癒されますのでご安心を。夜には花火や、もちろん飲み会もあります。飲み会では先生や学生のみんなと(熱く?)語り合うこともできます。心身ともにリフレッシュできるゼミ旅行です。

 

・匡一先生ゼミ旅行

 今年は、鎌倉へ二泊三日で出かけました。初日は義経の首洗い井戸や一遍聖絵で有名な遊行寺など普通の旅行では行かない日文ならではの場所を廻り、二日目は偶然やっていた地元のお祭りを見たり、有名な鎌倉の大仏を訪れました。三日目は鎌倉の代名詞とも言える鶴岡八幡宮や学問の神様として名高い菅原道真に縁のある荏柄天神社へ行ったりと密度の濃い三日間を過ごしました。鎌倉というとあまりにも有名な観光地のように思えますが、ちょっと視点を変えて歴史や文化を学ぶとまだまだ知らないことが沢山あります。楽しみながらもきちんと学べる、そんなお得なゼミ旅行です。

 

・松本先生ゼミ旅行

 例年は泊まりがけですが、今年は日帰りで信州新町の有島生馬記念館へ見学に行きました。生馬が命名したという琅鶴湖の湖畔に建つ記念館では、書簡・写真・遺品をはじめとする数々の貴重な資料を見学しました。また、画家としての生馬の側面がうかがえる複数の絵画も展示されており、小説家以外の部分にもふれることができました。記念館に併設された信州新町美術館、信州新町化石博物館に立ち寄って書や造形、化石や地層などの世界にふれた後、午後には水野美術館へ。日本画を専門にしているこちらの美術館で行われていた「四大浮世絵師展」に足を運び、150余りの錦絵や団扇絵、肉筆画などをじっくり鑑賞することができました。日帰りでしたが、文学はもちろん、広く芸術に触れることが出来た充実したゼミ旅行でした。

 

・沖縄旅行

 隔年の2月中旬、ゼミ旅行として沖縄へ。三泊四日、昼は、沖縄中をひたすら車で巡り続け、夜は、沖縄料理に舌鼓。御嶽数カ所(※御嶽(うたき)・・・神が降りてくるといわれている、神聖な場所。)、源実朝の石碑、今帰仁城、首里城、久高島、辺野古米軍基地周辺(基地移転反対運動座り込み)、ひめゆりの塔、沖縄県博物館など、普通の観光旅行では行けない場所にたくさん行きます。しかも匡一先生の詳しい解説付き!ちゃんと勉強もしているんです。楽しいだけじゃありません。

※2月に行くので、青い海や空が見られるかは運次第。昼食はソーキそば率が高いです。

 

・追いコン

 新歓に並ぶ日文最大の飲み会である追いコンは、2月にある卒論発表会の後に行われます。2,3年生からは、4年生へ思い出満載のアルバムが、4年生からは、先生方へ花束が贈られ、互いに別れを惜しみます。秀夫先生のありがたいお話を聞きおさめつつ、二次会までひたすら飲み尽くします。

 以上が主な日文イベントです。どれも楽しいものばかりですよ♪

 

 

Q.日本文学分野で取れる資格にはどんなものがあるんですか?

A.日本文学分野では、教職、博物館学芸員などの資格を取ることが可能です。特に国語科の教員資格取得に必要な科目が、日文の選択科目に多く含まれるので、比較的国語科の資格が取りやすくなっています。その他に、教職科目、学芸員に関する科目がそれぞれに必要になってくるので、夏休みに集中講義やレポートが入り込んできます。頑張りましょう!!

 

 

Q.卒論題目には今までにどのようなものがあったんですか?

A.卒論のテーマは、日本語で表現されるものであれば、古典文学から始まり、作家や作品、新聞やテレビなどのメディア、漫画やゲームまで、何を扱っても構いません。自分自身が興味と問題意識を持って取り組めることが重要です。過去の卒論題目については、平成15~21年度の題目が日本文学分野のブログに、平成13~15年度の題目と要旨が日本文学分野公式ホームページに掲載されています。

 

 

Q.卒業された先輩方はどのようなところに就職されているんですか?

A.就職活動準備は、3年の秋から大体みんな始めます。就職先は、出版社・印刷会社・デザイン会社・地方銀行・公務員と多種多様で、大学院に進学する方もいらっしゃいます。また、教師になる方も少なくありません。基本的に日文は就職に関しては放任だと思われるので、自由であると同時に、個人の努力次第というところが強いでしょう。

 

 

◎おわりに

 いかがでしたでしょうか?私たちの専攻について少しは知ってもらえたと思います。このように楽しいイベントが盛りだくさんの日文ですが、ゼミはとても厳しく、大変です。発表前には、図書館や資料室にこもりきりになるということが多々あります。それゆえに、本当に日本文学が好きで、研究に興味がある人に来てもらいたいと思っています。

 最後に少し厳しいことを書きましたが、勉強が大変な分、得られることも本当に多いと思います。たくさんの仲間たちと充実した大学生活が送れることを、私たちが保証します!!みなさん、ぜひ日本文学に来て、一緒に楽しい日文ライフを送りましょう♪質問があったら、気軽に資料室に来てください。

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