Q&A

一年生のみなさんへ(日本文学)2009

◎はじめに
 1年生のみなさん、こんにちは。日本文学専攻3年の金子です。今年も専攻決めの季節がやってきましたね。不安に感じている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、私たち日本文学専攻に関する、みなさんからの疑問・質問にお答えしたいと思います。これを読み終わる頃には、あなたもきっと日文に来たくなるはずです!!

Q.それぞれのゼミの内容について教えてください。
A.日本文学専攻には3人の先生方がおられ、それぞれの先生のゼミがあります。


○渡邊秀夫ゼミ
 前期のゼミでは、変体仮名を読む練習を行います。変体仮名を読めるようにすると共に、平安時代の文化背景の理解を深める事が中心となります。また、漢文・漢詩といった漢籍を読む事もあります。毎週配られた課題を読み、授業で読み合わせをしていきます。初めは全然読めなくても、回数を重ねることで、自然と慣れて読めるようになります!たまに癖の強い字だと読めないこともありますが・・・・。
 後期は一つの文学作品を取り上げ、それについて自分たちなりにテーマを設定し、発表を行います。今年は、『百人一首』、『百人一首拾穂抄』をテキストとして扱っています。『百人一首』は、宇都宮頼綱の依頼により、藤原定家によって編纂されたといわれる百首の歌を集めたものであり、『百人一首拾穂抄』は北村季吟によって著された注釈書です。各自、この注釈書を翻字し、語釈をつけ、口語訳をつけた上で、和歌や歌人についてそれぞれ自分なりのテーマを設定し、発表の準備を行っています。ちなみに、今まで扱った作品は、『土佐日記』、『源氏物語』、『枕草子』等です。
初めは、手に取った事のない、それほど興味のない作品でも、取り組んでいくうちにどんどん面白くなっていきます。日本だけでなく、漢籍も扱うので、発表の準備にはかなりの時間を要しますが、とてもやりがいのあるゼミです。


○渡邉匡一ゼミ
 このゼミでは、中世の仏教説話集を扱います。前期では、『宇治拾遺物語』の中から考察したい1話を選び、古典文学全集や辞書、研究論文を参考にしつつ、自分で語釈をつけ、各自好きなテーマで考察します。
 後期は、福島県いわき市の如来寺で発見された日本で一冊しかない『三語集』の1話を翻字し、語釈をつけ、訳して考察していきます。まだ、研究されていない本を扱うため、発表までの準備は大変ですが、やりがいは大きいです。
 匡一先生のゼミでは、自分で勉強すればするほど、面白くなっていきます。物語や昔話が好きな人はぜひ来てみてください。


○松本和也ゼミ
松本先生のゼミでは、主に近・現代の日本文学作品を扱います。また、それらの文学作品の背景となる時代や舞台にも言及して理解を深めていきます。今年の前期は、一人、二度の発表を行いました。前半で扱ったのは、松浦理恵子「裏ヴァージョン」、桐野夏生「グロテスク」、阿部和重「シンセミア」、津島佑子「鳥の涙」、石田衣良「うつくしい子ども」、笙野頼子「母の縮小」、藤野千夜「少年と少女のポルカ」、山本文緒「イバラ咲くおしゃれ道」、京極夏彦「嗤う伊右衛門」、目取真俊「魂込め」などの現代日本文学作品です。これらの作品の中から各自1作品を選択し、内容把握を中心とした短い発表を行いました。後半で扱ったのは、雑誌『白樺』第一巻内に所収された作品、または明治43年に発表された作品から各自選択した作品についての先行研究を整理し、研究展望の発表を行いました。文学作品だけでなく六号記事や芸術論を扱った人もいて、多彩な方面から文学へのアクセスができます。
後期では、まず、川上弘美「離さない」を扱い、4,5人のグループごとに疑問点を挙げ、他のグループがそれに対し返答するということを行いました。次に、永井荷風「つゆのあとさき」を扱い、グループ毎に先行研究をまとめ、課題や新たな解釈点などを提示することを行います。普段から何気なく読んでいた作品への新しい方向からのアプローチができます。


Q.日文でやっている調査って、どういうことをやるんですか?
A.主に蔵書調査を行います。日文でやる調査には以下のようなものがあります。
・仏法寺調査
 ほぼ毎月行っているもので、匡一先生を中心に、土日に諏訪へ行って仏法紹隆寺の蔵書調査をします。土曜日の夜は、みんなで飲み会です。先生の美味しい手料理がいただけますよ♪
・御嶽神社調査
 王滝村の御嶽神社で年3回ほど行います。日本史専攻の山本先生、匡一先生が中心となって行っています。
・高美書店調査
 匡一先生、早稲田大学の和田先生が中心となって行っている調査です。松本市にある高美書店の、主に明治期以降の書店史料を対象にして目録の作成を行います。
・旧制高校調査
旧制高校調査は今年新しく始まった調査です。旧制松本高校は、信州大学の前進となった学校です。現在あがたの森にある旧制高等学校記念館に保管されている思誠寮日誌などを調査の対象としています。大正・昭和期の学生生活が見る事が出来て、新しい発見があります。
 このような調査をみんなでワイワイ楽しんでやっています。詳しくは日本文学分野公式ホームページに調査の仕方などが載っているので見てみてください。(決して飲んでばかりではないですよ!)


Q.日文の資料室はどこにあるんですか?
A.日文資料室は、人文棟3階の一番奥にあります。日文の本拠地とも言えるこの場所で、学生たちは様々な資料を使って勉強したり、おしゃべりしながら息抜きをしたりします。専攻の件で相談があれば、気軽に足を運んでみてください。


Q.日文のイベントについて教えてください!
A.とっっっても楽しいイベントが盛りだくさんです☆主な行事を順番に紹介していきます♪
・新歓
 4月には、日文に新しく入ってきた2年生のために、新入生歓迎会が開かれます。毎年恒例で「いろり」というお店でやっています。ここで2年生は、専攻の先輩達や先生方と交流を深め、日文の雰囲気をつかみます。先輩や先生と仲良くなれるとともに、勉強についてわからない事や不安などを解消できる良い機会です。
・如来寺ツアー(三語集とカツオを求めて)
 毎年6月の終わり頃に一泊二日で福島県いわき市にある如来寺というお寺に三語集の実物を見に行きます。三語集とは、匡一先生のゼミの説明にもありましたが、後期のゼミで扱うテキストです。自分が担当した話の実物に巡り会えた時の感動は・・・言葉では言い表せません。しかも、美味しいカツオも食べられますよ☆絶品です!!
・秀夫先生ゼミ旅行(乗鞍)
 毎年、一泊二日で乗鞍へ出かけます。ペンションに泊まり、フランス料理がいただけます。乗鞍の清々しい空気の中、散歩をし、温泉を楽しみ・・・その夜はもちろん飲み会。みんな、美味しい料理と温泉に癒されて帰ってきます。
・匡一先生ゼミ旅行
 今年は、伊勢へ一泊二日で出かけました。初日は伊勢神宮の歴史を学びながら外宮、内宮と回り、旅館へ。泊まった麻吉旅館は、神宮参詣の際精進落としの場として栄えた古市に、今でも残る老舗の宿です。二日目はその古市の資料が残る伊勢古市参宮街道資料館や、神宮と関わりの深い朝熊山金剛証寺、斎宮博物館などを訪れました。密度の濃い二日間で勉強になりました。
・松本先生ゼミ旅行
 例年は泊まりがけですが、今年は日帰りで信州新町の有島生馬記念館へ見学に行きました。生馬が命名したという琅鶴湖の湖畔に建つ記念館では、書簡・写真・遺品をはじめとする数々の貴重な資料を見学しました。また、画家としての生馬の側面がうかがえる複数の絵画も展示されており、小説家以外の部分にもふれることができました。記念館に併設された信州新町美術館、信州新町化石博物館に立ち寄って書や造形、化石や地層などの世界にふれた後、午後には水野美術館へ。日本画を専門にしているこちらの美術館で行われていた「四大浮世絵師展」に足を運び、150余りの錦絵や団扇絵、肉筆画などをじっくり鑑賞することができました。日帰りでしたが、文学はもちろん、広く芸術に触れることが出来た充実したゼミ旅行でした。
・沖縄旅行
 隔年の2月中旬、ゼミ旅行として沖縄へ。三泊四日、昼は、沖縄中をひたすら車で巡り続け、夜は、沖縄料理に舌鼓。御嶽数カ所(※御嶽(うたき)・・・神が降りてくるといわれている、神聖な場所。)、源実朝の石碑、今帰仁城、首里城、久高島、辺野古米軍基地周辺(基地移転反対運動座り込み)、ひめゆりの塔、沖縄県博物館など、普通の観光旅行では行けない場所にたくさん行きます。しかも匡一先生の詳しい解説付き!ちゃんと勉強もしているんです。楽しいだけじゃありません。
※2月に行くので、青い海や空が見られるかは運次第。昼食はソーキそば率が高いです。
・追いコン
 新歓に並ぶ日文最大の飲み会である追いコンは、2月にある卒論発表会の後に行われます。2,3年生からは、4年生へ思い出満載のアルバムが、4年生からは、先生方へ花束が贈られ、互いに別れを惜しみます。秀夫先生のありがたいお話を聞きおさめつつ、二次会までひたすら飲み尽くします。
 以上が主な日文イベントです。どれも楽しいものばかりですよ♪


Q.日本文学分野で取れる資格にはどんなものがあるんですか?
A.日本文学分野では、教職、博物館学芸員などの資格を取ることが可能です。特に国語科の教員資格取得に必要な科目が、日文の選択科目に多く含まれるので、比較的国語科の資格が取りやすくなっています。その他に、教職科目、学芸員に関する科目がそれぞれに必要になってくるので、夏休みに集中講義やレポートが入り込んできます。頑張りましょう!!


Q.卒論題目には今までにどのようなものがあったんですか?
A.卒論のテーマは、日本語での表現に関するものであれば、古典文学から始まり、作家や作品、新聞やテレビなどのメディア、漫画やゲームまで、何を扱っても構いません。自分自身が興味と問題意識を持って取り組めることが重要です。過去の卒論題目については、平成15~19年度の題目が日本文学分野のブログに、平成13~15年度の題目と要旨が日本文学分野公式ホームページに掲載されています。


Q.卒業された先輩方はどのようなところに就職されているんですか?
A.就職活動準備は、3年の秋から大体みんな始めます。先輩方の就職先としては、デザイン会社・問屋・地方銀行員・販売員・公務員と多種多様に挙げられ、また大学院に進学するという進路を取られる先輩方もおられます。また、教職(国語)を取られ教師になられる先輩方もおられます。基本的に日文は就職に関しては放任だと思われるので、自由であると同時に、個人の努力次第というところが強いでしょう。


◎おわりに
 いかがでしたでしょうか?私たちの専攻について少しは知ってもらえたと思います。このように楽しいイベントが盛りだくさんの日文ですが、ゼミはとても厳しく、大変です。発表前には、図書館や資料室にこもりきりになるということが多々あります。それゆえに、本当に日本文学が好きで、研究に興味がある人に来てもらいたいと思っています。
 最後に少し厳しいことを書きましたが、勉強が大変な分、得られることも本当に多いと思います。たくさんの仲間たちと充実した大学生活が送れることを、私たちが保証します!!みなさん、ぜひ日本文学に来て、一緒に楽しい日文ライフを送りましょう♪質問があったら、気軽に資料室に来てください。

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