【英語学分野】よくある質問

英語学分野と英米文学分野でのアプローチの違い(具体例)

ある作品(小説)などを英語で読む場合、はっきり言えば、それを楽しめれば充分です。

英語学を専攻しようと、英米文学を専攻しようと、楽しめればそれでよいのです。

あとは、そのあと、卒論にするときに、自分がどちらに向いているかは人それぞれです。
次のような2つのケースを考える時、自分は具体的に(どちらかといえば)どちらに向いているかを知ることができます。

これは、ある小説の一場面です。これを読んでどのようなことを感じるかで、(どちらかといえば)どちらに向いているかがわかります。

【ケース1】(あらすじを聞いて知る、向いている分野)
・ ある時、Marillaは、知り合いの女性が死んで、その後に残された双子(男の子と女の子)を引き取ることに決めました。
男の子の名はDavy、女の子の名はDoraと言います。

あなたは、この説明を聞いてどう思いますか?
(1)
DavyとDoraは、同じDで始まっていることに気が付くーーー>英語学・英米文学どちらもOK

(2)
この二人は、どんな性格だろう?   ーー>英米文学分野
この二人の名前の意味は何だろう? ーー>英語学分野(もちろん、英米文学分野でもこうした問いについて考察することがあります。)

(3)
双子が登場人物ということで、作者は双子が身近にいたのかな・・・>英米文学分野
Doraは、DorotheaもしくはTheodoraの愛称。この名はギリシア語が起源で、意味は・・・>英語学分野(もちろん、英米文学分野でもこうした問いについて考察することがあります)

【ケース2】
さて、Davyは、Marillaがジャムをたくさんくれないことが不満です。この部分の描写を読んでみましょう。

"If Marilla wasn't so stingy with her jam I believe I'd grow a lot faster."
"Marilla is not stingy, Davy," said Anne severely. "It is very ungrateful of you to say such a thing."
"There's another word that means the same thing and sounds a lot better, but I don't just remember it," said Davy, frowning intently. "I heard Marilla say she was it, herself, the other day."
"If you mean 'economical', it's a very different thing from being stingy. It is an excellent trait in a person if she is economical. If Marilla had been stingy she wouldn't have taken you and Dora when your mother died. Would you have liked to live with Mrs. Wiggins?"

(1)マリラのことを「経済的」と言わずに「けちんぼ」と言うなんて、なんてこの子は恩知らずだろう。
ーーー>英語の読み取りに難あり(笑) もうちょっと英語を勉強しましょう。

(2) 「経済的」っていう言葉が思い出せなかったなんて、Davyって面白い。ーー>英語学分野・英米文学分野どちらにも向いています。

(3)双子を引き取るのがstingyじゃないという証拠になるならば、この当時、引き取るという行為はどんな意味を持っていたのかなーー>英米文学分野に向いている。

(4)stingyとeconomicalは、確かに意味が違うけれど、2つが「同じことを意味する」「economicalの方がいい言葉と聞こえる」とDavyが感じたののは何故だろうーー>英語学分野に向いている(もちろん、英米文学分野でもこうした問いについて考察することがあります)

(5)Mrs Wigginsと住むことがなぜ嫌なのか、Wigginsという人がどんな風に描かれているか確かめたいーー>英米文学に向いている。

(6)「Mrs Wigginsの住みたくはなかったでしょう?」という問いかけが、「マリラはよい人なのよ」ということを遠回しに言っている。そういう表現って他にも言い方はあるのかなーー>英語学に向いている(もちろん、英米文学分野でもこうした問いについて考察することがあります)


いかがですか? これで英語学と英米文学で何をどのように学ぶかの違いがわかったでしょうか。


どちらも、英語という言語をめぐる「文化」の中での、人々の感じ方、考え方を探究するのですが、

英米文学は「作品」や「作者」という枠組みを必ず通して、文化の中での「個人」あるいは「人間」の存在や意味に焦点を当てます。

英語学は「作品」や「作者」という枠組みを通しても通さなくても、「英語」という言語が文化をどう構成するかに焦点を当てて考えるのです。

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