お知らせ・報告

20180529中国語サロン ピアスの穴と耳の穴、シャツとブラウスとチュニックと

この日の中国語サロンは、学生、参加いただいているネイティブ非常勤講師の先生方等、全部で8人参加でした。

交換留学生のW君が珍しく耳にシルバーのピアスを付けていましたので、「あれっピアスしてたの?」と質問するとW君がすっとそれを手で外して見せてくれました。実はピアスではなく耳たぶに挟むイヤークリップで、W君曰く「人から貰ったので付けてみた」ということです。信大人文学部に研修にいらしている杭州師範大のS先生が「現在中国の若い世代では男性でもピアスなど付ける人がいます」と説明してくれました。ピアスって中国語で何て言うんですかと参加学生から素朴な質問が出たので、非常勤講師L先生やW君が“耳环”と言うんですよと教えてくれました。“环”は「環」ですから本来円形の耳輪を指すのですが、そこから意味が広まり、現代的なピアスキャッチやフック金具を用いる形状のピアスも緩やかに“耳环”で表すことができます。ピアスキャッチを用いるものは“耳钉”、フックタイプピアスは“耳钩”という言い方もありますが、“耳环”をより細分化した語という関係なのでしょう。そう言えば「ピアスの穴」って何と言うんですかと私からL先生に質問すると、ちょっと考えて「“耳洞”ですね」。じゃあ「耳の穴」は何と言うんですかと再度尋ねると、「う~ん……やっぱり“耳洞”ですね」とL先生が答えてくれました。日本語においては「耳の穴」と「ピアスの穴」は同一語彙で表すことができませんが、中国語では“耳洞”が両方の意味を持ち得るというわけです。「“耳环的洞”は中国語では絶対に言わないです」とL先生がコメントしてくれました。
ネットで調べると「ピアスホール」に相当する語として“打耳洞”も掲載されていますが、“耳洞”だけでも同じ意味で用いられている例が数多く見られます。“打+耳洞”“穿+耳洞”といった動詞目的語フレーズを形成しているのが特に目立っており、動詞と組み合わせるのを前提とする中国語的性格が、日本語との語彙分化の違いを生んでいるのかなとも感じました。

そこからファッションの話になり、留学生Zさんが2年生Kさんが着ている服を指して「これは日本語で何と言うんですか?」と質問したので「パーカー」と言うんですよと学生同士で説明します。するとW君が「これには帽子がないのもありますよね」とコメント。「帽子がないもの??」と一瞬話が見えなくなったのですが、帽子とは「パーカーのフード」のことで、帽子がないものとは「トレーナー」。中国語では「パーカー」「トレーナー」いずれもまとめて“卫衣”と呼ぶので、それでW君のコメントが理解できました。日本語では帽子=フードの有無で「パーカー/トレーナー」と語彙が分かれているんですよと説明すると、知らなかったという答。例えば日本語:「時計」に対して、中国語:“表(携帯できる腕時計など)/钟(携帯しない置時計・掛け時計)”のように、中国語はモノの形状で語彙を細かく分けるというのが定説だったりするのですが、日本人から見てカタチがはっきり分かれていると見做されている「トレーナー/パーカー」が一語彙にまとめられているのが逆に意外でありました。
今度はL先生から「シャツとブラウスはどう違いますか?」と質問。こちらも中国語ではどちらも“衬衫”ですが、ブラウスは専ら女性用デザインに用いるのだと説明しました。すると更にL先生から「では私が今日着ているのは何と言いますか?」と質問。ええとこれは何と言ったっけと自分自身でも日本語語彙を検索して確認すると「チュニック」が出てきました。そうそう襟がなくてだぶっとしたシルエットの腰周りを覆うようなスタイルは「チュニック」という言い方があるんですよと言うと、日本語は色々分かれているんですねとL先生が驚いたように言いました。日本語のファッション語彙はカタカナ表記ばかりで、それも日本人が憶えていられないぐらいにかなり短期間で新しい語彙がどんどん出てきますので、外国人にとって実に難物なのでしょう。

◎中国語サロンは毎週火曜昼休み(12:10~13:00)、信大人文ホールの西側隅っこで開催しています。些細な質問でも中国語の宿題でも、中国語ネイティブの方に尋ねてみたいことがあればお気軽にどうぞ。

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