お知らせ・報告

20180508中国語サロン 「庖丁解牛」「#西郷殿」のこと

この日の中国語サロンは、学生、交換留学生、参加いただいているネイティブ非常勤講師の先生方、市民受講の方等、全部で10人参加でした。

市民開講授業を受講しているKさんが授業の配布資料でよく分からないところがあると言うので、院生Lさんや交換留学生のW君と見てみることにしました。中国哲学をテーマにした対談記事で、その中に“庖丁解牛”という四字成語がありました。同じくサロンに参加の学部生数名に「庖丁(=包丁)の中国語の意味って知ってる?」と話を振ると、よく分からない、料理で使う包丁じゃないんですかという反応。日本語では料理で使う刃物という意味だけど、中国語では古代の料理人という意味であり、“庖丁解牛”という成語は、昔とある腕の良い料理人がきれいに牛を解体したことで王から称賛の言葉をかけられたが、それに対し「私の刃物は全然切れません、私は牛の体、骨格、筋肉、筋の付き方をよく観察して、適切な場所に刃を当てるだけで肉がはずれるのです」といったことを答えたという逸話を元にしています。そこから、複雑な物事を上手に処理するためには、実践の繰り返しを通じて対象をじっくり観察し把握するのが肝要であるという教訓につながるというわけです。Kさんのよく分からないという感覚は、成語のニュアンスを汲み取りきれていなかったことで生じたのでしょう。中国語では何かと四字成語が登場し、その中に含まれている語彙も日本語の用法とは異なりますので、その違いを把握するのが大事です。

杭州師範大学から信大人文学部に研修にいらしているS先生は中国哲学を専門としていますが、NHK大河ドラマ「西郷どん」について、陽明学の新しい学説を脚本に取り入れているんですよと、研究仲間との中国語での微信Wechatトーク画面を示して紹介してくれました。大河ドラマも様々な人物を題材とし、歴史学の新しい知見学説を脚本に取り入れていますが、歴史学だけでなく中国哲学も取材ターゲットになっているということです。ちなみに「西郷(せご)どん」は中国語で「西郷殿」表記、ハッシュタグで「#西郷殿」となっておりました。ドラマタイトルは薩摩弁「せごどん」の発音であり、標準語的発音である「西郷(さいごう)殿(どの)」から敢えて遊離させた形となっていますが、中国語漢字表記によってそこからまた「さいごうどの」に引き戻される感覚が奇妙で面白いものです。

◎今年度の中国語サロンは毎週火曜昼休み(12:10~13:00)、信大人文ホールの西側隅っこで開催しています。些細な質問でも中国語の宿題でも、中国語ネイティブの方に尋ねてみたいことがあればお気軽にどうぞ。

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