お知らせ・報告

20171218中国語サロン シャンシャンの人気について

Kさんから提供いただいた刻み胡桃とクリームチーズのビスケット干し柿サンド、中国人学生たちに大好評でした

この日の中国語サロンは、学生、院生、参加いただいているネイティブ非常勤講師の先生方等、全部で10人参加でした。

上野動物園の仔パンダ“香香(シャンシャン)”の公開が19日始まるとあって大きなニュースになっていますが、市民開講参加のKさんが「昨日のニュースで見たのだけど、香(xiang1)が人気のある字って本当?」と質問してきました。 そのニュースを見ていなかった私や中国人交換留学生W君など「香りがいい、料理が美味しそうな匂いだ」という意味だけど「人気がある」という意味はないと答えますと、でもニュースではっきりそう言っていたとKさんの言。“香(xiang1)”はよく使う基本的な漢字だけど、人気があるイメージはないなーと当日参加の中国人学生たちと話し合っていたところ、Kさんがネット検索をかけてくれてそのニュースの元ネタであろう記事がヒットしました。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017092500451
時事通信より引用:
「シャンシャン(香香)」と命名=12月ごろお目見え-東京・上野のパンダ
生後100日となり、身体検査を受けるパンダの赤ちゃん。名前が「香香」に決まった=20日、東京都台東区の上野動物園(公益財団法人東京動物園協会提供)
 上野動物園で6月に生まれた雌のジャイアントパンダについて、東京都は25日、名前が「シャンシャン(香香)」に決まったと発表した。応募総数32万件余りの中から、選考委員会などを経て決定。生後6カ月を迎える12月ごろ、一般にお目見えする見通しだ。
 記者会見した小池百合子知事は「とても呼びやすく、香りがするようなかわいらしい名前」と祝福。多数の応募について「人気の絶大さを実感した」と述べた。同園によると、「香」には中国語で「人気者」の意味もあるという。
 福田豊園長は「さわやかでかわいらしい良い名前。たくさんの人に愛されるパンダになってほしい」と語った。・・後略・・(2017/09/25-16:16)

確かに『同園によると、「香」には中国語で「人気者」の意味もあるという』と記述があります。サロン後に“香”を在线新华字典で調べてみたところ、“受欢迎(歓迎を受ける)”という用法もあるとのことでした。ただ中国語ネイティブの皆の反応からすると“香”の意味合いとしては頭に浮かばない、一般的な用法ではないようです。

http://xh.5156edu.com/html3/21036.html
在线新华字典より引用:

xiāng
气味好闻(匂いが良い),与“臭”相对:香味。香醇。芳香。清香。
舒服(気分が良い):睡得香。
味道好(味が良い):这鱼做得真香。
受欢迎(歓迎を受ける):这种货物在农村香得很(この品は農村でとても人気がある)。
称一些天然或人造的有香味的东西:麝香。灵猫香。龙涎香。檀香。沉香。
旧时用以形容女子事物或作女子的代称:香闺。香艳。
祭祖、敬神所烧的用木屑搀上香料做成的细条:香火。烧香拜佛。香炉。香烛。
姓。


http://www.baike.com/wiki/%E9%A6%99%E9%A5%BD%E9%A5%BD
互动百科より引用:
香饽饽 xiāng bō bō
饽饽是一种糕点、馒头或用杂粮面制成的食物(饽饽は点心の一種で、マントウ或いは雑穀で作る食べ物)。
在豫东有些地区称金灯果(一种植物果实)为香饽饽,金灯果学名毛酸浆,是一种浆果,・・後略・・(豫東〔河南省の黄河以南〕におけるいくつかの地区で金灯果〔果実の名称〕を香饽饽と呼び、金灯果は学名を毛酸浆といい、液果の一種で、・・後略・・)
引申(派生義)
香饽饽引申为非常热门、很受欢迎、非常抢手的人或事物的意思(香饽饽は派生義として非常に人気がある、大層歓迎される、引く手数多な人や事物という意味となる)。
例:这职业是个香饽饽,人们蜂拥而至(この職業は引く手数多で、大勢の人が蜂のように群がってくる)。

当日参加した中国人学生たちからは、“香饽饽”というフレーズでなら「人気がある」という意味でよく使うということでした。中国語で“香”と言えばやはり「料理が美味しそう、香ばしい匂いがする」という場面で用いるのが最も一般的ですが、日本語では「花のいい香りがする」イメージが強くて「料理の美味しそうな匂い」という感覚は弱いと思われます。また中国人交換留学生W君やHさんは“香香”という名前からは「田舎の女の子の名前っぽい、“好土”(すごく芋っぽい)」という感覚がすると教えてくれました。確かに“香”は女性の名前によく用いられる超基本的な漢字ですが、それを二つ重ねたシンプルな名付けは工夫や衒いがなさすぎで“好土”な感覚につながると察せられます。そしてW君が付け足して言うには、“馨馨”なら「芳しい香り」という同じ意味であり、尚且つ洗練されたイメージになるということでした。超基本漢字である“香”より“馨 xin1”の方が使用頻度が低く、その分改まったイメージにつながるということなのでしょう。ただ残念ながら“香香(シャンシャン)”の母親パンダの名前が“真真(シンシン)”であることから、“馨馨(シンシン)”では発音がかぶってしまうこと、また難しい漢字は日本の子供たちが覚えにくいですからこの先も採用されることはないでしょう。そもそも“真真”の中国語発音はそり舌子音のチェンチェン Zhen1zhenであります。父パンダ“力力(リーリー li4li4=中国語読み)”、母パンダ“真真(シンシン=日本語読み)”、仔パンダ“香香(シャンシャン Xiang1xiang=中国語読み)”と、分かり易さを優先した結果なのでしょうが夫婦親子で漢字の中国語読みと日本語読みとがごっちゃになってしまっているのが現在です。
まあそんな名前など気にせず可愛い“香香(シャンシャン)”が元気に育ってくれれば何よりです。

◎中国語サロンは毎週月曜昼休み(12:10~13:00)、信大人文ホールの西側隅っこで開催しています。些細な質問でも中国語の宿題でも、中国語ネイティブの方に尋ねてみたいことがあればお気軽にどうぞ。

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