お知らせ・報告

2017/09/17-23上海蘇州研修旅行について(2日目)

上:訪問した警備付き高級マンション地区 中:張さんの趣味である"古筝" 下:数字表記の楽譜、古筝に限らず中国では一般的表記

2日目9/18 07:00過ぎにホテルビュッフェ朝食へ。パンやフルーツなど洋風メニューの他に、包子や粥(この日は紫薯粥)に豆浆といった中国ホテル朝食定番メニューもかなり充実。前日夜に学生Aさんから移動中足を挫いたようだと相談を受けましたが、一晩経って幸い痛みは治まってきた模様。念のため痛み止めのロキソニンを渡しました。常備薬をもう少し多めに準備しておけばよかったかなと考えつつ身支度。
3名ほど学生が銀行で両替したいということで、09:00頃ホテルを出発。すぐ近くにあった中国农业银行に向かうも現金外貨の取扱がなく、行員さんが教えてくれた数十メートル先の中国银行へ。両替をしない人は銀行内の椅子に座り待っていたのですが、S君から「このアナウンスは何て言ってるんですか?」と質問。ひっきりなしに流れる女性ボイスのアナウンスは“请关好内门”で、銀行内部と待合室をつなぐ扉が二重になっており、行員が出入りする度に「内側のドアを閉めてください」と鳴らしているのだと解説。ちょうど両替手続き中の銀行窓口に視線を向けてもらい、日本の銀行とは異なり天井からカウンターまで防犯ガラスで内部が完全隔離され、手続きはカウンターに開けられている穴を介して行うのだと説明すると、「日本の銀行と全然違う」と警備の厳重さに改めて驚いていました。

両替が終わり、地下鉄移動で高青路駅に10:20頃到着。駅近くの大きな交差点で李先生の高校時代の友人張さんが出迎えてくれました。そこから数分歩いて警備つきの立派なマンション地区へ。当研修旅行計画段階ではてっきり普通の中国人家庭訪問かと思っていたのですが、予想以上に豪華な生活をしているご家庭です。張さんの御主人は“炒股”=株取引の仕事でアメリカ出張中とのこと。中国人による客人おもてなしの常としてふんだんな果物やナッツ、加えてペットボトルの甘くないサントリー烏龍茶(無糖茶は中国では少数派で、日本メーカーの飲料は高価)や、更に海外のガラス瓶入りである高価な水も惜しげなく出され、大きなテーブルを囲んで張さんとそのお友だち一人と一緒に談話タイムとなりました。リビングに“古筝”があることについて質問すると、張さんが「今“甲”=爪を付けていないから」と謙遜しつつ、基本的な曲であるという≪渔舟唱晚≫を演奏してくださいました。後で楽譜も見せてもらったのですが、中国で主流である数字を使った表記法であることも学生たちは興味深く見学していました(画像参照)。
張さんはこれまで何度も日本旅行していて「今までの人生よりたくさんお辞儀をしてもらった」といった話や、上海郊外で見かけた農地と有機野菜の話に、自宅キッチンに浄水器を取り付け工事して蛇口からそのまま飲用水が出せるようにしているといった話をしましたが、特に印象深かったのは「現在日本の子供たちの勉強と習い事はたいへんですか?」という張さんたち側からの問いかけでした。日本もかつては受験戦争や習い事で子供のスケジュールが過密な時代もありましたが、バブル期と所謂ゆとり教育そして少子化を経て一段落した感があります。しかし中国は今正に子供たちに勉学と習い事を詰め込むのに必死という競争社会が激化する最中にあります。子供たちにとって余裕がない状況は良くないということは張さんたち親側も自覚しているのですが、だからといって競争から下りてしまうと将来苦労することになるのは子供自身だという、引くに引けないジレンマを抱えていることがよく分かりました。

上:レストラン個室で記念撮影 下:「やあ、また会ったね」"爽口小木耳"

談話タイムが終わり松本から持参したお土産を渡した後、娘さんの習い事であるピアノ(スタインウェイのアップライト!!)が置いてある子供部屋や、“古筝”以外にも張さんが習っている“国画”=中国伝統絵画で使っている地下アトリエや、ご主人が仕事の接待で活用するであろう茅台酒・ワイン・日本酒のコレクションなどを見せていただき、外のレストランへと移動。こちらも昨夜同様“川菜” レストランでした。今時の中国では“川菜”=四川料理や“湘菜”=湖南省料理が客人と会食する際に人気が高いため、自ずと良く利用されるということです。
中国語メニューを学生に解説しながら見てみると“牛蛙”=食用蛙の料理が学生たちの興味を引き、オーダーに加えてもらうことに。“酸菜鲈鱼”=白菜の漬物を使ったシマスズキの炒め煮など、前日の四川料理店ではなかった料理も体験することができました。"爽口小木耳"は昨晩もテーブルに乗っていた同じ料理で、「またこれか!四川ではそんなに好かれるのか!」と学生の笑いを誘いました。 途中李先生と張さんのお友だちが翌日利用する"高铁"チケットの調整で外出、学生たちと張さんとでどの料理が一番おいしかったかなど中国語で会話をし、いろいろ説明をしてもらいました。すっかり御馳走になり14:00過ぎごろお開き。中国人の本気おもてなしスタイルを実感できた一時でした。
なおこの日は「柳条湖事件」等により中国では日本侵略を受けた日として朝から特集ニュースも組まれている"九一八"で、旅行出発以前から張さん側から政治的な話は避けてほしいと要請を受けており、ご自宅談話会とレストラン会食は和やかな雰囲気で終了しました。

上:東方明珠下球から黄浦江を望む 下:外灘近辺交差点から見る東方明珠など高層ビル群

地下鉄で陆家嘴駅に向かい、上海の都市部分を象徴する存在である東方明珠タワーへ。タワーの上球と下球に入れる“B票”を購入し、“安检”を経てタワーに向かうも、最初入口が分からず出口に行ってしまうハプニング。気を取り直して正しい入り口に向かい行列で並び、上球に登るエレベーターへ。エレベーターの案内嬢はもう何千回と同じことを繰り返しているのか、扉が閉まり上昇して扉が開くその数十秒間でぴたりと説明文を言い終えるという職人技を披露していました。この地区は東方明珠タワー以外にも更に高いビルが立ち並び、昼食のレストランで張さんからは「東方明珠よりもっと高くて面白いビルがあるよ」と言われていましたが、やはりニュース映像でよく目にする象徴的な建物にいる事実は皆気持ちが高揚します。
売店や芸人パフォーマンスがあったりの上球から一通り上海の街並みを見渡して、次は下球へ。こちらはガラス張りでなくワイヤー張りの回廊とまったりした休憩スポット、そしてゲームコーナーになっていました。S君とN君が「太鼓の達人」をプレイ。東方明珠をエレベータで降り出口を出て、次は地下鉄で一駅の南京东路駅に移動。上海市内一番の繁華街で物凄い人混みの中を歩いて夕暮れ近い外灘へ。通り沿いで多くのビルが外装修繕をしていますが、足場縦の骨組みは鉄製で、人が乗る横の骨組みは竹製なのは変わらず中国だなと感じさせます。先程までいた東方明珠一帯を対岸とする黄浦江川岸スポットは更に世界中の観光客が集まった人山人海ですが、その中に大きな銃を携えた警備員が何グループもテロ対策でのし歩いていた姿が学生たちの印象に強く残ったようです。

上:夜景が始まる外灘周辺地区 下:昔はもっともっと安かった酸奶

外灘は夜景が有名ですが、翌朝早起きが必要なスケジュールであるため、ネオンが灯り始めた頃ホテルへの移動開始。地下鉄駅に向かう通りに面した売店で小笼包=小籠包や粽子=ちまきや酸奶=ヨーグルトなど食べ物を売っていたので夕食はここで調達と決め、学生各自が中国語を使って購入。小笼包と酸奶はどちらも15元、二十年前と比較して中国の物価上昇はたいへんなものです。全員無事買い物を済ませ地下鉄に乗り19:00前にホテルへ戻り、ロビーで翌朝集合の打ち合わせをしてこの日の活動は終了しました。

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