信州大学農学部附属AFC手良沢山ステーション

AFC手良沢山ステーションは伊那市近郊に位置し、農学部から車で30分とアクセスが良好です。大半がヒノキとカラマツの人工林となっており、当研究室では森林施業が下層植生におよぼす影響をモニタリングしています。また、手良沢山ステーションで標高が最も高い7林班には、アカマツ−広葉樹の二次林が成立しています。この二次林の下層の植生構造や更新動態に関する研究を行っています。
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ヒノキ人工林の下層植生

手良沢 手良沢
ヒノキ人工林の生物多様性に対する森林施業の影響を調査しています。左側の写真は比較的粗に管理された人工林であり、下層の植物層も多様です。一方、右側は間伐が実行されていない人工林で、下層にはササ(スズタケ)以外の植物はほとんど見当たりません。
手良沢 手良沢
稜線上では条件が悪く、光が差し込んでいても、下層の発達が貧弱な場合があります(左写真)。また、同じ林分でも、上層のヒノキがないところで、局所的に植生が発達することがあります(右写真,右下)。このことは、人工林であっても、複雑な空間構造を持たせることで、種の多様性を向上させる可能性を示唆しています。
Photo by K.Iino


壮齢ヒノキ人工林に対する強度間伐試験

手良沢強度間伐01 手良沢強度間伐02
強度間伐がヒノキ人工林の下層植生に与える影響を調査しています。左側の写真は強度間伐を行った直後の写真です。間伐剤の枝葉が林地に散在しています。右側の写真は強度間伐から3年経過した林床の様子です。下層植生によって林地が被覆されましたが、その高さは1m未満です。
手良沢強度間伐03 手良沢強度間伐04
強度間伐から10年経過した林床の様子です。林冠の閉鎖は不十分であり、下層では低木層が形成されています。
手良沢強度間伐05 手良沢強度間伐06
強度間伐から15年経過した林床の様子です。低木層はさらに発達し、そのほとんどがササの層(高さ1m)より上部に突出しています。また、成長が早い個体は樹高8mに達しています。
手良沢強度間伐07 手良沢強度間伐08
低木層の発達によって、林床の個体数や種数が減少し始めています。このような現象は長期的に調査を継続することで初めて観察できます。右の写真は引継ぎのための現地踏査の様子です。
Photo by S.Tsujino, M.Suzuki, K.Iino, and Y.Ito


アカマツ−広葉樹の二次林

手良沢藁科1 手良沢藁科2
手良沢山ステーションの7林班は、このステーションで最も標高が高いところです。左側の写真に見られるように、高いところにはアカマツや広葉樹が分布し、低いところにはヒノキやカラマツの人工林が広がっています。また、この林班の稜線上にはササがほとんど分布していません。そのため多くの樹木が更新しています。
手良沢藁科3 手良沢藁科4
左側の写真はアカマツ二次林を、右側の写真はミズナラなどの広葉樹二次林の様子です。2つの二次林では、低木層に出現する種に違いがあることがわかってきました。
手良沢藁科5 手良沢藁科6
下層にササ(スズタケ)が繁茂しているかどうかは、樹木の更新に対して明確な影響をもっています。左側はササがないところで樹木が更新している様子を、右側はササが繁茂しているところで樹木の更新が見当たらないことを示しています。
手良沢藁科7 手良沢藁科8
下層植生の分布には微地形も影響していることが明らかになってきました。安定した尾根の上ではより多くの樹木が更新していますが(左)、谷地形ではほとんど更新が見当たりません(右)。谷よりも少し上のほうに若干の更新が認められます。
Photo by A.Warashina






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