信州大学農学部

応用生命科学科

動物生殖学研究室

Update: 20041208


研究の概要

マウスをはじめブタやウシなどの哺乳動物の生殖・繁殖に関する研究を行っている.特に,精子および卵子のもとになる細胞である始原生殖細胞(primordial germ cell; PGC)や精原幹細胞 (spermatogonial stem cell)のように多能性・多分化能を維持した細胞に関心があり,これらの細胞を用いた研究を進めている.また,受精卵,未受精卵子の保存技術の開発も行っている.

 

1)精原幹細胞の単離・精製および移植精原細胞の精子形成に関する研究:

精原幹細胞は精子のもとになる細胞で,精巣内で細胞自らが細胞分裂を繰り返して細胞数を増加させていると同時に,その一部が分化することにより精子を無限に作り出している.この精原幹細胞を分化させずに培養することができれば,この細胞に遺伝子導入を行い,同細胞を生体に移植し培養細胞由来の精子を作出することができる.そこで我々はマウスおよびブタの精原幹細胞の単離・精製とその移植に関する研究を行っている.



1. GFP
遺伝子導入精原幹細胞を精細管内に移植し,同細胞から増殖・分化した精細胞

X線照射した幼若マウス精巣の精細管に,緑色に光る遺伝子(GFP)を導入した精原細胞を移植し,精細管内で増殖・分化した精細胞.赤色蛍光は精原細胞を示し,緑色蛍光は移植した細胞から増殖した細胞を示す.



2)哺乳動物卵子の超急速ガラス化保存および非凍結低温保存に関する研究:

卵子の保存には一般的に緩慢凍結法による凍結保存法が用いられているが,解凍後の生存性には改善の余地がある.我々は,水溶性プルランフィルムを用いてフィールドで行える簡易ガラス化保存法の開発を行っている.また凍結せずに短期間保存するための非凍結低温保存法の開発についての研究も行っている.


図2. 可溶性プルランフィルム上でガラス化した受精卵の融解

プルランフィルム上で超急速ガラス化した受精卵を融解液中に浸漬して6秒後の状態.フィルムはあっという間に溶解する.矢頭は受精卵を示す.



3. 氷温で7
日間
低温保存したマウス受精卵

非凍結温度域の氷温(0.4)7日間保存した受精卵を加温後,数日間培養して発生したマウス胚盤胞.子宮に移植した場合,正常に妊娠し産仔が得られた.


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