本研究室では,国内各地もしくは世界各地から収集したソバ(南担当),トウガラシ(松島担当),アマランサス・カブ(根本担当)などを研究対象として,遺伝資源(育種素材)としての評価と系統分化の解明,および機能性成分等に関する育種についての基礎・応用研究を展開している.また,これらの研究を通じて,信州の気候・風土を生かしたフィールドワークと最新の技術を使用したラボワークの両方を実践し,身につけることを基本方針としている.
2.研究テーマ
1)植物遺伝資源の評価と系統分化に関する研究
@新規機能性植物の探索・導入と評価
A在来系統・品種をはじめとしたトウガラシ属植物の特性評価およびDNAマーカーによる系統分化の解析
写真.世界各地から収集されたトウガラシ遺伝資源
図.DNA解析(RAPD法)によるトウガラシ類縁関係のデンドログラム(樹形図)
Bアマランサス属植物の生理・生態的特性の解明、DNAマーカーによる系統分化の解明および民族植物学的調査
C分子生物学的手法を用いたグアテマラ産遺伝資源アマランサスの種同定
写真.アマランサス子実用栽培種を用いたDNA電気泳動像
DSハプロタイプを指標とした長野県在来カブ・ツケナ品種の保全遺伝学的研究
E長野県内における有用植物資源(在来作物・野菜、食用野生植物)調査
2)機能性成分に関する遺伝・育種学的研究
@ソバ属における高ルチン含量品種の育成と遺伝様式の解明
A長野県各地におけるダッタンソバの栽培特性解明
Bトウガラシ極低辛味遺伝子cf geneに関する遺伝解析と品種育成
写真.極低辛味形質の遺伝解析に用いる
トウガラシ属種間雑種F1(中)と強辛味親(左)、極低辛味親(右)
Cロコトトウガラシの栽培特性解明および優良品種の開発
D長野県上伊那地域におけるトウガラシの加工適性・機能性調査および産地形成
E長野県中山間地栽培に適した七味用トウガラシ品種の開発
Fアマランサスの栽培技術と加工食品開発
Gアマランサス種子に含まれるアミロース含量を支配するGBSS遺伝子の変異と機能の解析および遺伝様式の解明
写真.子実用アマランサスの種子タンパク質のSDS-PAGE電気泳動像
3)バイテク技術を用いた遺伝・育種に関する研究
@ソバ属における胚珠培養による種間雑種の作出
A種間交雑による自家和合性普通ソバの育成およびその自殖性・脱粒性に関する遺伝様式の解明
Bダッタンソバおよびアマランサスにおける放射線・EMSによる突然変異の誘起と優良系統の選抜
C野生種トウガラシとの胚培養による種間雑種の作出と新品種の開発
Dアマランサス,ダッタンソバにおける同質四倍体系統・品種の育成
写真.染色体の倍数化を目的としてコルヒチン処理中のダッタンソバ種子
写真.コルヒチンを処理した種子から得られたアマランサスの幼植物体(左)
4)海外調査
@ブータン王国における野生植物利用とそれらの伝統知識としての健康効果について
写真.ブータン王国東部で採取した食用野生植物サンプル
Aネパールにおける遺伝資源に関する調査(予定)
2011年5月現在