関連情報 (新聞記事は掲載後日数が経つとリンクが切れることがあります)
   この授業に直接関連の情報の他、農業関連のトピックなども載せていく予定です...

06.11.10 平成18年度産のコメの生産統計が出始めました

このコラムへの書き込みは、栽培学の講義のある後期にしかしていないとはいえ、10ヶ月も間が開いてしまい、直前の書き込みは正月に書いたものとは....。この10ヶ月、確かにドタバタしてはいたが。

この時期になると例年、米の生産統計関係のデータが発表されるようになる。
今年は天候不順の影響で、どうやら全国的にコメはやや不作のようだが、それにもかかわらず、コメの取引価格は下がっているという。コメの消費低迷の影響が小さくないだろう。

ちなみに、この時期になると、親戚から送られてきた新米を頂く。例年は、疲れて家に帰ってほとんど何も考えずにご飯を食べているような時でも、新米だということには間違いなく気づくのだが、今年のコメは「おっ、新米だ!」というインパクトが少々弱かった。天候不順の影響は食味にも出ているのかもしれない。今年の信大農場産のコメのできはどうだろうか。(10kgで3900円、低農薬栽培米は4100円で販売中

さて、コメの生産統計に話を戻すと、平成18年度産米の検査結果によれば、近年問題となっている一等米比率は昨年並みのようです(農水省の発表資料)。一等米に格付けされなかった原因は、着色米と心白・腹白によるものが目立っています。着色米には様々なものがありますが、カメムシの被害によるものが多いと思われ、温暖化がカメムシの被害発生を助長しているとも見られています。また、心白・腹白(玄米の中心部が白濁するものを心白米、玄米の腹側が白濁するものを腹白米という)の発生も温暖化(夏期の高温)の影響と考えられています。心白米や腹白米は食味が低下するとされ、その発生を抑制することは米生産上の重要な研究テーマになっています。

先月末、香川大学で作物学会が開かれましたが、腹白米の発生と気象要因や光合成・登熟との関係に関する発表が多数ありました。

香川といえば讃岐うどん。でも食べ過ぎにはご注意。讃岐うどんは製麺の際に結構たくさんの塩を使っている。
学生のうどん屋のはしごに付き合って4玉食べたら、その後、腹が一杯にもかかわらず、とても喉が渇き、お茶を飲むのが苦しかった....

01.03 日本の人口推計に絡んで、コメの需給関係、教育問題など(年初に思うこと)

随分間があいてしまいました...。1月3日付けの朝日新聞に「西暦3300年、日本人が消える?」との見出しで、日本の人口減少が予想以上のスピードで進むとの記事が掲載された。

最新の人口動態の推定によれば、西暦3300年には日本の人口はゼロ、つまり日本人が絶滅してしまうというのだ。「日本人が絶滅」というのはショッキングではあるが、1300年も先のことを言われても...というのも実感。しかし、推定によれば、日本の人口は2100年には現在の約1/3の4100万人、2150年にはそのさらに1/2以下の1900万人弱となり、2200年には850万人...ととんでもないスピードで減少するという。最近までは2100年頃の人口は6000万人程度と予測されていたはずなのだが、少子化傾向に歯止めがかからず、少子化の一途をたどっていることから、人口減少の速度はこれまでの予測を大幅に上回るものになったようである。

先日の講義で、日本の国民一人あたりコメ消費量と人口の将来予測に基づいて30年後のコメの需給関係を予測するデータを示しました。30年後、コメは不足の可能性ありとの予測であった訳だが、上記の最新の人口予測に基づけば、コメ不足は生じない!?(人口減少が激しくなれば、コメの減反はますます強化されるだろうが)

日本でコメ不足が生じる可能性が低くなるかも知れないこと、世界から食糧を大量に輸入している日本の人口が大幅に減少することで世界の食糧需給状況もも緩和されるかも知れないことは喜ぶべきことなのかも?(この一方で、中国の食糧輸入の増加が激増する可能性が高いので、食糧需給状況はむしろ緊迫すると危惧されますが)

農業問題を離れても、これだけ急速に人口が減少するとなると、今後、日本の国をどのようにして支えていくのかは、きわめて深刻で重大な問題だ。1月3日の朝日新聞の一面トップ記事は、「就学援助13%に増加」で、少子化の中の就学困難の増加という、この国の抱える時限爆弾を我々に突きつけていた。

家庭の経済的な理由で就学費用(文房具代、給食費、修学旅行の費用など)の支弁が困難なため公的給付(就学支援)を受ける公立小中学校の児童・生徒の割合が2004年度に全国平均で13%に達したという。大阪府・東京都ではなんと25%前後だという。就学援助の受給者は全国で133万人あまりで、2000年度に比べて37%も増加した。長引く不況によるリストラや給与水準の引き下げが背景と見られる。政府は、「少子化は所得格差が原因ではない」との見解であるが、所得格差が無縁とは到底思えない事実である。

人口が減少するなら、一人一人の能力を高めたり、個々人の能力がより生かさせるような社会を作ることが必要だろう。そのような社会作りのために、教育はこれまで以上に国の存立の鍵を握る。であるのに、少子化の中で就学困難が増えるとは...。人口が減れば、国を支える「人」の大切さは今後高まる。国は、国を支える「人」を貴重な財(たから)として大切に育てようとしているのだろうか。将来の夢を抱いていない小中学生が増えているという。夢を育めない教育ではいったい何が育つのだろう...。「アメリカンドリーム」を刷り込み、所得格差の拡大と固定化を容認してきた結果が逆に夢のもてない社会を作ったのではないのだろうか...?一人一人が大切にされ、当てにされる、つまり、誰もがそれぞれの能力によって貢献していることを実感し、充実感のもてるような社会への転換が必要に思える。

人口の急激な減少と就学困難という2つの記事を同日の新聞に見つけ、正月というのにとても暗く思い気分に覆われた。教育機関に身を置く者として、夢つくりに努力せねばと思う。それにつけても、大学の予算は厳しすぎる...が、「恵まれないからこそ大きな夢がもてる」と考え直すことにしよう。

関連記事
就学援助増える http://www.asahi.com/edu/news/TKY200601020137.html
少子化と所得格差は無関係 http://www.asahi.com/edu/news/TKY200512240232.html

11.14 WTO交渉と農家への直接支払制度

世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が現在進められており、農業交渉では「上限関税」の問題が議論されている。WTOの交渉がどのように決着するかは、日本の農業の将来に多大な影響がある。

 現在、日本はコメ、砂糖などに非常に高い関税をかけて国内農家(国内生産)を保護している。しかし、交渉参加国の多くは、農産物貿易を活発にするには、現在より大幅に低い水準に関税の上限を引き下げる必要があるという意見に傾いている。これに反対姿勢を鮮明にしているのは、日本、韓国、スイスなど食料純輸入国でつくる「G10」と、アフリカ、カリブ海の途上国グループである。多くの農産物の国内産価格が国際価格より大幅に高い日本は、主要農産物を関税の大幅削減の対象から外すことに全力を注いでいる。すべての農産物関税を一定水準以下に引き下げる上限関税の導入には、最後まで抵抗し、コメなどは上限関税の対象外にするという譲歩を輸出国側から引き出し、最終的に上限関税を受け入れるという戦略をとっている。

少々厄介なのは、関税率の算定方式もドーハ・ラウンドでは変更されることになっていて、新方式での算定によると、日本の現在のコメの関税(390円/kgの従量関税)は現在の関税率490%程度から700%に跳ね上がってしまい、日本は超高関税をかけていると見なされてしまうので、世界からの風当たりが非常に強まると見られること。同一の従量関税を維持していても、新ラウンドの算定方式だと関税率を大幅に引き上げたことになってしまうのだ。

 とはいえ、コメなどの主要農産物についても長期的には関税を引き下げざるをえない状況にあり、国内農家の体力向上を図る政策が重要である。先月末に政府・自民党が決めた農家に対する新しい助成金制度では、従来は全農家に行き渡るようにしていた助成金を、大規模農家(農地面積4ha以上(北海道については10ha以上)に集中させることになった。農業経営の大規模化を助長して、生産コストを下げ、国際競争力を高める狙いだ。新制度では、農家戸数の2〜3割しか助成の対象にならないという。

従来の農業助成は、農産物を政府が税金を使って高く買い取る方法で、対象農産物を生産販売するすべての農家に税金の助成が行き渡っていた。新制度では、対象となる農家に直接助成金を支払う。

 経営規模が条件を満たさなくても、化学肥料や農薬の使用量を従来より50%以上減らした農家にも補助金が支払われる制度が設けられる。経営の大規模化による競争力の強化は重要だが、中山間地など大規模経営化の困難な場所が少なくないのは日本の特性であり、これらの地域での農業の果たす環境保全上の価値が適切に評価され、環境保全機能が維持されるように充分な工夫を凝らして欲しいものだ。

11.01 スギ花粉症を改善する米(スギ花粉症緩和米)の効果確認される

 スギ花粉症はいまや日本人の多くが悩まされているアレルギー疾患ですが、その抗原と認識されるペプチド(エピトープと呼ばれる)を作る遺伝子を組み込んだイネに実る米を食べ続けることでスギ花粉症の改善が図れるとして農林水産省などで研究が続けられていた。この「スギ花粉症緩和米」が有効であることを確認した論文が10月31日付けの米国科学アカデミー紀要に特集として掲載された。

 この論文で、スギ花粉症緩和米をマウスに経口投与すると、スギ花粉を浴びても花粉症症状(くしゃみ)が緩和されること、および経口投与でのアレルギー緩和機能に関する免疫学的な作用機作が明らかされたという。


 この「スギ花粉症緩和米」は遺伝子組み換え作物(GMO)であり、今後、充分な安全性確認のための試験研究がまだ必要とされるでしょう。これまで、スギ花粉症の根本的な治療法として、スギ花粉の抗原を定期的に長期にわたって皮下注射を繰り返す「減感作療法」というものがありましたが、長期間を要するなどの理由から、誰でもが簡単に花粉症を克服できるというものではありませんでした。「スギ花粉症緩和米」が販売されるようになれば、普通に毎日お米を食べるだけでスギ花粉症が改善されるので、スギ花粉症に悩む人にとっては(GMOを受け入れるなら)大変な朗報でしょう。

 GMOの安全性に対する不安をもつ人は少なくないかもしれませんが、花粉症の人の大多数が何らかの薬に頼って花粉症の症状を和らげる対症療法をとっています。使われる薬には、効果が高く、ついつい頼りがちになりやすいステロイド剤がありますが、ステロイド剤は長期使用した場合には特に副作用の心配が拭えません。GMOの安全性に疑問をもつ人は少なくないかと思われますが、それに比べるとステロイド剤の安全性に疑問をもつ人は少ないのでは?しかし、現時点で公正に、スギ花粉症緩和米とステロイド剤を比較すれば、ステロイド剤の方が安全性は低いと言うべきだろうと個人的には思います。ステロイド剤に副作用があることは既に科学的(医学的)に明らかですが、スギ花粉症緩和米の副作用はまだ明らかではありません(副作用は、あるともないともまだはっきりしていない)。スギ花粉症緩和米が今後どうなるかわかりませんが、花粉症対策としてステロイド剤に安易に頼り過ぎないように気をつけることは大切だと思います。

 ちなみに私自身、花粉症もちですが、漢方薬に助けられています(漢方薬も薬には違いないので、頼りすぎは良くないと思いますが...)。そんな訳で、スギ花粉症緩和米にすぐに飛びつく気はないです...。


関連情報
 朝日新聞Webの記事
 スギ花粉症緩和米によるアレルギー症状の緩和 マウスで科学的有効性を証明
   (農林水産省農業生物資源研究所のプレスリリース)
 スギ花粉症緩和米の研究開発について(農業生物資源研究所)
   詳細解説バージョンはかなり難解です...(一般的解説バージョンも?)
 スギ花粉症の解説(原因、各種治療法など)

11.01 2005年の水稲作況、3年ぶりに平年を上回る

 農林水産省が10/28に発表した平成17年10月15日現在の水稲の収穫予想によると、作況指数*は101(平年並み)で、3年ぶりに平年並みの収量となる見込み。作況指数が全国最高の109となった北海道の収量は573kg/10aで、過去最高を記録した。長野県の作況指数は105で北海道に次いで高かった。一方、病虫害や台風の影響を受けた九州は94、沖縄は91だった。 詳細な情報は農林水産省ホームページに掲載されている

 平成15年は作況指数90、平成16年も98と2年不作が続いた後の平年並みの作柄に、普通なら一安心、と言いたいところだが、近年の米消費の低下により、平年並みの作柄でも米が余ってしまうことが心配されている。10/4にこの欄で書いたように、農林水産省は米の値崩れを防ぐため、10/15現在、都道府県と地域別の作況指数がともに101以上になった24都道府県の63地域でいわゆる「過剰米対策」が発動される。この対策で、需要を上回る9万トンの米を主食米市場に出ず、家畜のエサやパンの原料用などに出荷される。

 この「過剰米対策」に協力を表明している農家は全体の7割だが、米を主食米市場に出荷せず原料用として出荷すると価格は1/2になる。米価格が値崩れしてしまうよりはましだろうが、いずれにしても米生産農家の収入が減る可能性がある。米生産農家だけを対象とするものではないが、農家の所得補償を行う新たな助成制度が先ごろ政府・与党から発表されている。この新しい制度(「直接支払い制度」)については後日紹介します。

作況指数とは? : 平年の収量に対して当該年の収量がどれだけの割合かを示す数値で、当該年の収量が平年収量と同じなら100。問題は、「平年の収量」と「当該年の収量」をどのように決めるか。平年の収量は単純な平均値ではない。作況指数は毎年8月(収穫時期の早い地域のみ)、9,10,12月(全国)に発表されるので、当該年の収量は予測値(12月発表の作況指数の場合を除く)を使う。詳しくは下記の解説を参照。
 ニュースのはてな「作況指数:NHK長野放送局 (比較的簡単な解説)
 作況指数ってなぁに? :近畿農政局神戸統計・情報センター (とても詳細な解説です)

10.28 東アジアで大雨が増加、地球温暖化の影響

 気象庁が10/28に発表した「異常気象レポート」(5年ごとに発表される)によると、日本を含む東アジアの広い範囲で大雨が増加傾向にあり、今後も増加すると予測されている。このレポートで初めて、「大雨が長期的に増加傾向にあることには地球温暖化が影響している可能性がある」との分析が示された。
 二酸化炭素の排出量が増え続けると、日本では日降水量100ミリ以上の年間出現数は、多くの地域で現在の1.5〜2倍になり、西日本の日本海側で増加が大きいという。(朝日新聞Web記事を要約

以前(5月19日)に植物生産環境情報学の関連情報のページに「温暖化で世界の河川の流量に激変が!?洪水が増える?(朝日新聞web)」を引用しましたが、大雨が増えれば洪水被害の発生頻度も上がるでしょう。昨年(2004年)は大型台風の度重なる直撃での全国各地(兵庫県豊橋市、福井県福井市、新潟県上越市など)で大洪水が発生し、農業生産も大きな被害を受けました。温暖化は農業生産を向上させる可能性もありますが、生産を不安定化させる要因であることは間違いなさそうです。

  異常気象レポート2005の公表について:気象庁による
  異常気象レポート:気象庁

10.16 国連世界食糧計画(WFP)制作の食糧援助体験ゲーム「FOOD FORCE」の日本語版リリース

 「FOOD FORCE」は、世界中の飢餓の現状とWFPの緊急食糧援助活動を、より多くの人々に理解し、学んでもらうことを目的に国連世界食糧計画が制作した、食糧危機にさらされた人々を救うロールプレイイングゲームで、これまでは英語版、ドイツ語版、フランス語版などがあったが、日本からのダウンロードが非常に多かったことから、コナミ株式会社の協力で初めてのアジア系言語版として作成された。下記から無料でダウンロードできます(17日13時から)。ゲーマーもそうでない人も一度やってみては。
  http://www.foodforce.konami.jp/

  これまでFFといえば「ファイナル・ファン●●ー」だったのでしょうが、これからはFOOD FORCEかも!でも、飢餓を救わなければならないミッションがこの世界からなくなるのが理想なのでFOOD FORCEがブレイクするのは如何かとは思うが...。

 ともかく、この機会に国連世界食糧計画の活動や世界の栄養不足(飢餓)の状況(ハンガーマップ)などをwebで見てみて下さい。日本語サイトは下記です。
  http://www.wfp.or.jp/

10.12 カメムシの被害で1等米比率が低下(日本農業新聞webより)
     http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0510/05.html

 農林水産省が発表した今年の新米の検査結果によると、2等以下になった理由で最も多いのはカメムシ類の被害を中心とした「着色粒」だという。
 カメムシ類は、出穂後の水田に侵入して稲穂の汁を吸い、玄米に斑点を作り品質を落とす。越冬地となる森林や雑草地に接する水田で発生しやすい。カメムシの生息密度が近年高まっているとみられており、これまで以上の警戒が必要になってきているという。(要約)


 近年、温暖化に伴う登熟期の温度上昇の影響と見られる心白米や腹白米の発生増加による検査等級の低下が北陸地域などで問題になってきています。今年の夏は暑かったので、心白米や腹白米の発生は少なくないと思われ、さらにカメムシの被害による品質低下が加わっているようです。心白米・腹白米については、短期的には栽培時期をやや遅らせるなどして登熟期に遭遇する気温を低くするなどの回避法が検討されています。また、長期的には高温下での登熟でも心白や腹白の発生しにくい品種の育成が進められています。
 一方、カメムシの着色米の発生の抑制については、耐虫性品種の開発は容易ではなさそうで、農薬散布によるカメムシ防除がもっとも効果的のようです。ですが、近年、農薬使用量を減らしたり、無農薬栽培が求められているため、農薬散布で安易に解決するという訳にはいかなくなってきています。
 上記記事で指摘されているように、「畦畔雑草の刈り払いを徹底して成果を挙げている例は多い。芝草などの地被植物で畦畔を覆い、雑草を抑えるのも有効だろう。線路脇や道路ののり面の雑草刈り払いに、関係機関の協力を求める産地もある。」という、従来指摘されている対応を適時に的確に取ることが重要と言えます。とはいえ、畦畔雑草の草刈りというのは結構重労働で、頻繁に行うのは大変なことです。安全なお米を作るには、それ相当の労力がかかるということを消費者はよく理解して新米を味わって欲しいものです。

用語
心白米、腹白米、着色米:玄米の中心部が白く不透明に濁ったものを心白米という。玄米の腹側(胚のある側)に不透明に白く濁った部分があるものを腹白米という。玄米が、玄米本来の色以外の色に着色したものを着色米という。いずれも、食味の低下には結びつくとは限らない。米の検査は外観品質に基づくので、心白米、腹白米、着色米などが一定比率以上含まれると1等米→2等米...と等級が落ちていく。等級が落ちると通常、価格は下がる。

10.04 農水省による過剰米対策制度「集荷円滑化対策」が今年度は発動か(朝日新聞webより)
     http://www.asahi.com/life/update/1004/002.html     

 目標値を上回って生産されたコメを主食用ではなく、家畜のエサ用などに出荷することで主食米の値崩れを防ぐ「集荷円滑化制度」が初めて発動されそうだという。この制度は、10月15日時点のコメ作況指数が101以上の場合に、正式に発動される。今年は9月15日時点で作況指数が102で、発動の可能性が高い。
 この対策に参加しない農家は、主食用の米価が下落した際の価格補填制度が適用されないほか、来年のコメの生産目標数量を減らされる。ただ、対策に従って過剰米を主食用以外の用途に出荷すると農家の収入は60kgあたり約6000円に対し、市場で売れば12000円以上が期待できる。この対策に参加しない農家が3割を越えている。このため、主食用コメ市場に想定以上の量が入り、過剰供給のために値崩れが心配されている。(要約)


 というような記事なのだが、本当に心配なのは、コメ価格の値崩れが、米生産農家の生産意欲低下や米生産の減少を加速しはしないかということだろう。人口の減少が予想よりも早く始まったのでは、ともいわれており、米の必要量は今後減少することは間違いないが、人口減少のペースを上回るペースで米生産の現象が起こらないように充分な注意が必要だ。なぜなら、近年の米生産量の減少ペースは相当なものなのだ。いずれ、このページでデータを紹介するつもり。また、「作況指数」についても後日解説ページなどを紹介する予定です。