イネの直播栽培の研究  −新しい米作りをめざして−

7.田んぼにまいた種が芽を出すまで

田んぼの泥の中にイネの種をまいても、普通はまともに芽は出ません。

湛水土壌中直播という方式では、従来は不可能であった、「田んぼの泥の中でイネの種を発芽させて育てる」ことに成功しました。 これは、「発芽を助ける薬を種にくっつけてまく」という新しい技術が開発されて可能になったものです。

でも、発芽を助ける薬を使ってもうまく発芽してくれない場合があります。直播栽培で発芽がうまくいかなかったらおしまい。
他の直播方式でもそうですが、自然条件の田んぼの中でも発芽とその後の苗の生長を良くすることのできる技術の開発は、 非常に重要な研究課題です。


1)なぜうまく芽が出てこないのか?

田んぼの泥の中で種が発芽する時の様子を調べた結果(左の写真)を見て下さい。 泥には薬品を混ぜて青く染めてあります。

泥が青く染まっている場合は、泥の状態が種の発芽にとって良い環境であることを示し、青く染まっていない場合は、 泥の状態が種の発芽にとって悪い環境であることを示します。

種の周りは青くないですが、これは、「土壌還元」という植物の生長にとって 有害な現象が起こったためです。

種の周りが発芽にとって悪い環境になってしまうために、うまく発芽できないということが起こる、 ということが分かってきました。


上の写真で分かるように、種の周りは発芽にとって悪い環境(ドブ川状態)になってしまうのです。このような環境では、 発芽しても苗がうまく育ちません。


< 補足説明 >