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平成25年度公開森林実習「冬のフィールド管理演習」を実施しました

演習林系の実習

歩くスキーの習得
歩くスキーの習得
シラカバ樹林をスノーシューで歩く
シラカバ樹林をスノーシューで歩く
信濃毎日新聞2004年2月7日29面  (長野県内全域配布)
信濃毎日新聞2004年2月7日29面  (長野県内全域配布)

<公開森林実習>

冬のフィールド管理演習 

 

<実習目的>

信州の特色を生かした冬の森林内で自由に移動するための歩くスキーとスノーシューの操作技術を習得する。1.雪国の菅平高原で、歩くスキー、スノーシューを実践的に学ぶ。2.ボランティアの雪はね作業を通して地域社会に貢献する。3.演習は公開森林実習であり、他大学学生と交流をしながら、筑波大学菅平高原実験センターの先生による冬のアニマルトラッキングと森林生態の講義とフィールド実習を学ぶことにより、コミュニケーション能力を高める教育効果が得られる。

 

<実施日程>

平成2624()7() 34

 

<実施場所>

農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター(AFC)構内ステーション

長野県須坂青年の家

筑波大学菅平高原実験センター

 

<担当教員、講師>

加藤正人教授、外部講師(筑波大学町田龍一郎教授、田中健太准教授、ペンション四季 冨田浩二氏)、ほかTA4

 

<参加人数>

36名(鹿児島大学2名、名城大学1名、信州大学人文学部1名、教育学部1名、経済学部2名、理学部2名、農学部27名)

 

<実習スケジュール>

 初日は農学部ゆりの木資料館においてガイダンスを行い、構内ステーション演習林の見学をした。その後、大学バスにて宿泊場所の長野県須坂青年の家に移動し、加藤教授から「冬の森林調査と歩くスキー技術」の講義を受け、スキーの履き方を学んだ。

 2日目は冬の森林調査で重要な雪上での移動技術を身につけることを目標に、歩くスキーの滑り方の基礎を学んだ上で、霧氷のシラカバ樹林を滑走した。午後はスノーシューの基礎技術を学び、峰の原高原から根子岳山麓の林内、斜面などを踏査した。今年は厳冬で髪の毛が凍ったり、呼吸がしにくくなるなど、-20℃近い冷温を体感した。夕食後は、ペンション四季を経営している冨田氏より「雪国での暮らし」の講義を受け、菅平峰の原高原ペンション地区での生活や峰の原高原の自然などの話を伺った。次に、加藤教授から翌日の演習内容の「安全な雪かき作業の仕方」の講義を受けた。

 3日目の午前は、峰の原高原の6軒のペンションや御宅に伺い、グループに分かれて雪かきボランティアを実施した。昼食は各ペンションでいただき、経営者の方から雪国の暮らしや雪かき作業の大変さ、根子岳や北アルプスの冬の大自然の素晴らしさなどの話を聞き、交流をした。午後は、富田氏のガイドで、スノーシューを履いて峰の原高原の自然と歴史を学んだ。夕食後は、翌日の演習内容の「冬のアニマルトラッキングと森林生態」について筑波大学の町田教授と田中准教授より講義があった。

 4日目は、筑波大学菅平高原実験センターに場所を移動し、町田教授と田中准教授によるアニマルトラッキングと森林観察を受講した。普段見ることがない雪上の動物の足跡の観察に、新たに興味を抱いた学生が多くいた。午後は、4日間の実習をふりかえりディスカッションが行われ、受講生同士、感想や意見を述べあった。その後、大学バスにて農学部に戻り演習を終えた。

 

<成果と今後>

 標高700mにおける農学部構内の演習林にて冬の木々の状況を観察した後、豪雪地に移動し、冬の間、雪に覆われている木々の状況を観察することにより、双方の生態を学ぶことができた。冬の雪山において行動する手段の道具として「歩くスキー」や「スノーシュー」が挙げられるが、それらの存在や使い方を知らない学生が多い。本演習では、それらの基本技術を習得しながら、実際に森林の中に入り、雪に覆われている木々の状況を観察、動物の足跡から、冬の季節をどのような動物がどのように行動しているのか等、学ぶことができた。

 雪かき作業のボランティアは、ほとんどの学生が初体験である。雪かきを通し、地元ペンション経営者の方から雪国で暮らす苦労、楽しさなどのお話を伺いながら交流をし、学生の普段の生活と違う暮らしや文化を知ることができた。本実習が教育以外にも地域交流活動として、活動が有意義であることが認められ、信濃毎日新聞より取材を受け、記事となった。
 本演習はバス乗車定員とスキーやスノーシューの貸し出し数の制約もあり、信州大学農学部25名、学外10名の計35名として募集したところ、今年度は本学農学部において2倍の申込みがあり、2年次生に限定し選抜した。また、鹿児島大学やフィールド活動が少ない他学部他学科の学生も受講し、異分野の知識を交換しあい、交流を深めることができた。受講生の多くが、冬の雪上におけるフィールド活動に視野が広がり意欲を持った様子がみられた。一方、冬場における
フィールド演習は、道具や装備の準備、安全対策、特に気を抜けば死に至る防寒対策や雪上でのグループ活動の行動規範の順守、周到な事前準備と学生への心構えを含めた事前連絡の必要性が重要視された。

 最後に、受講学生から「実習内容に大変満足している。このような貴重な体験は今後の人生に大いに生かされる。全国の大学生がもっと交流できる演習林実習が増えれば素晴らしい」との感想が多くあった。大学演習林を利用した教育関係共同利用拠点の目指すべき方向の一つと考えている。

 

 <受講生アンケート>

 H25アンケート-冬のフィールド管理演習(PDF:314KB)

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