平成25年度公開森林実習「山岳環境保全学演習」を実施しました

演習林系の実習

宝剣山荘付近で野生動植物の生態を学ぶ
宝剣山荘付近で野生動植物の生態を学ぶ
ハイマツ帯とイワヒバリ
ハイマツ帯とイワヒバリ
トウヤクリンドウ
トウヤクリンドウ
信大ルート樹林帯
信大ルート樹林帯

<公開森林実習名>

 

山岳環境保全学演習

 

<実習目的>

山岳環境保全に必要な基礎知識と技術を、西駒ステーションから西駒ヶ岳(木曽駒ヶ岳)を(標高1250m2956m)をフィールドとして集中実習により習得する。

1.氷食地形など日本アルプスの高山環境の成り立ちについて学ぶ。2.代表的な高山植物の観察を行い、希少な高山植物群落の保全について学ぶ。3.高山帯から亜高山帯を経て山地帯までの、植物の垂直分布帯を踏査し、信州の自然の多様性について体感する。4.高山環境に生息する昆虫類や鳥類の観察、野生動物のフィールドサインの識別方法など、フィールドワークの基礎を学ぶ。5.コンパスを使用した地図の読みや、変化が激しい山岳気象への対処など、登山の基礎知識を学ぶ。6.山小屋で宿泊し、し尿処理、ゴミ処理などの山岳環境保全のための対処方法を学ぶ。7.登山を通したフィールドワークの実践から、チームワークの重要性について学ぶ。

 

<実施日程>

平成25827()30() 34

 

<実施場所>

農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター(AFC)西駒ステーション

 

<担当教員>

泉山茂之教授、中村寛志教授

 

<参加人数>

34名(新潟大3名、筑波大2名、京都大1名、琉球大1名、鹿児島大1名、山口大1名、慶應義塾大1名、帯広畜産大1名、中部大1名、筑波大大学院1名、信州大農学部21名、理学部1名、工学部1名)

AFCコーディネータ福山研二特任教授、TA2

 

<客員>

東海大学観光学部観光学科田中伸彦教授

 

<実習スケジュール>

初日は本学講義室にて高山植物の生活史と保護、野生動物の生態と保護管理についての講義が行われた。2日目は中央アルプス駒ヶ岳ロープ―ウェイで千畳敷カールに上がり、宝剣山荘から西駒ヶ岳を往復する道中の高山植物を学んだ。木曽駒ヶ岳から下り標高2600m辺りの風当たりが強い地帯には、ハイマツやその周りに生育するガンコウラン、コケモモなど、常緑小低木が多くみられた。氷食地形の場所では雪が融けるタイミングの違いによる植物の成長の違いをみることができた。岩場の多い地帯にはトウヤクリンドウなどの植物が多種に生育し、中央アルプス固有種であるヒメウスユキソウもみられ、また学生たちの頭上にはイワヒバリやカヤクグリ、ホシガラスが飛びまわり、さえずる声を聴くことができ、鳥類についても学んだ。例年宿泊していた西駒山荘が今年改装工事をしている為、宝剣山荘での宿泊に変更になったが、3日目の西駒山荘に向かう道中では水場を求めてきたニホンザルの群れに出会い、親サルが子ザルの毛繕いをする様子を観察することができた。またオコジョやテンの糞も多く見つけ、野生動物の生態を学ぶことができた。高山帯では這うように生育していたハイマツが亜高山帯に入ると背丈が高くなっていくことを目の当たりにし、ダケカンバ林を抜け、ブナやミズナラ、コブシなどの広葉樹が生育していることで樹林帯に入ったことを確認できた。最終日は西駒ステーションの宿泊施設にて他大学他学部の学生間で意見交換し、レポートを作成して実習のまとめを行った。

 

<成果と今後>

本演習は調査研究色が多いようにみられるが、受講生にとっては、登山における知識、自然の気候や標高に応じ生育する動植物の営みなど実際に観察しながら講義を受けることができ、山岳環境保全について広い視野からの学びが多くあったことがレポートによりうかがえた。また、北海道から沖縄に至る全国の大学生が本州の中央に位置する山岳地に集まり、各々の気候や環境の違いを情報交換しあえることも、公開集中講義の有意な点ともいえる。

中央アルプス西駒ヶ岳は、地元の中学校においても多く登山教育が実施されている。そこに信大ルートという登山道をもつAFC西駒ステーションは、天然林が多く残っており、里山から約2000mの標高差がある広範囲のフィールドで多種多様な生殖動植物が観察できる。この豊かな森林と自然を有する利点を活かし、今後もフィールド教育の実践に繋げていく。

 

<受講生アンケート>

H25アンケート-山岳環境保全学演習(PDF:172KB)

 

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