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2019.06.17 【インタビュー

【人文学部】早坂 俊廣 学部長

今年度新たに人文学部長に就任された早坂俊廣学部長に中島美帆センター長がインタビューをしました。


[人文学部における男女共同参画の現状]


中島:人文学部長へのご就任おめでとうございます。学部ごとに女性教員の比率や女性職員の比率などが数字で出ていると思いますが、人文学部の現状をどのようにとらえていらっしゃるか、まずお伺いさせてください。


IMG_8564調整2.jpg早坂:学生数で言いますと、女子学生が大体6割強くらいで、男子学生が4割くらいと、女子学生が多い学部です。それはおそらく、人文学部の特色だと思います。また、女子学生が多いということもあるかもしれませんが、卒論の優秀賞やGPA(Grade Point Average)による学生の成績順などでは、大抵の場合、女子学生が上位に来ます。留学に出る学生についても、これは正確な数字ではなく私の印象ですが、非常に女性のほうが多いですね。なので、女性が元気な学部だと言えると思います。地方の国立大学でそういう学びの場を今後も確保していくということが、信州大学人文学部の責務だと思っています。
 女性教員の比率はちょうど2割くらいで、信州大学が掲げる目標には到達しています。ただ、なぜ2割に到達したかというと、この3月に若手の教員が4名、急によその大学に移ってしまいまして。それが全員男性だったものですから、その結果、幸か不幸か目標が達成できたということです。現在、採用人事がいくつか動き始めていますが、その中で女性の教員を採用できれば、比率はもっと上がると思います。



[課題]


早坂:まず、学生と教員の双方に関わることですが、人文系の場合、女性の研究者という問題の前に、ポスト自体が全国的にかなり急激に減ってきているので、研究者自体を育てていかないといけないという課題があります。信州大学人文学部に博士課程はありませんが、どの大学ということではなく学会全体で若手の研究者を育てていき、その中で女性の比率が上がっていけばいいのではと考えています。
 また、女性教員の比率が他学部に比べて比較的高いということはありますが、女性の学部長のみならず、副学部長もいまだかつて出てきていません。現在、ある女性の教員の方に学部長補佐となっていただいていますが、女性だからということではなく、非常に優秀な方なのでお願いしています。今後も、このように優秀な若手女性教員に学部長補佐を経験していっていただくことができれば、自ずと女性の副学部長や評議員、ひいては学部長も生まれてくるのではと考えています。


IMG_8583調整.jpg中島:私は女性教員の少ない理学部所属なので、人文学部は女性の先生が多くてうらやましく思うのですが(※令和元年5月1日現在、理学部の女性教員比率は9.5%、人文学部は21.9%)、女子学生が6割いるという比率から考えると、あれ、少ないなとどうしても思ってしまいますね。学生のほうから先生方を見たときに女性教員が少なく見えると、お聞きしたようにがんばっている女子学生がたくさんいるのに、研究者を具体的な目標にしにくいですし、努力の先が見えないと思わせてしまう、もったいない感じがします。もちろん、それはひとつの学部だけの問題ではなく、全学的な問題だと思いますけれども。


早坂:そのとおりですね。
 私の専門は中国哲学なのですが、中国哲学や中国史関係の国際シンポジウムが日本で開催された際、中国の女性研究者の方が「本当に日本は女性の研究者が少ないですね」とおっしゃいました。確かにそう考えてみると、中国では女性の研究者が非常に多いんですよね。それに比べて、日本の私の周囲の学会関係のことでいうと、もう圧倒的に女性の研究者が少ない。学部生までは女性のほうが多いのですが、修士、博士になると、ちょっとどころではなく、どんどん減っていくという状況です。


中島:人文学部だけではなく、文系の学部の問題というか、特殊なところがあるかもしれないですね。やはり、研究者になるのが本当にとても難しいというところが、まず一番なのでしょうか。


早坂:先日、新聞等で、ある女性の若手研究者が自殺された記事が掲載されました。私は研究分野がまったく同じというわけではありませんが、その方の論文などを読んだことがあったので、あんなに優秀な方でも......とショックを受けました。ただ一方で、あの研究領域ではあれだけ優秀な方でも職がないということであって、女性だからということではないのですが。私が専門とする中国哲学の領域でも、日本で職を得ることを諦めて、台湾や中国で日本語を教えるとか、あるいは研究員を務めるというようなかたちでキャリアを積んでいる若手が本当に多いという現状があります。


中島:いわゆるポスドク問題のようなところにつながる大きな問題がある中で、ただでさえ職が少ないのに、若手の中で男性と女性が数少ないポストを取り合わなければならない状況があり、もしかすると男性の若手のほうには、女性ばかり推進推進と言われて、というような声もあるかもしれません。みんながよく働ける社会を目指しているはずなのに、非常に厳しい状況の中で、弱い者がまたさらに弱い者に......という、あまり人間的によくない争いがありますね。今の日本社会の問題のひとつなのかもしれません。



[働きやすい人文学部にするための取り組み]


中島:学生と教員のお話がありましたが、事務職員も含めて考えると、会議の時間やワークライフバランス、最近では働き方改革とも言っていますが、そういうことも重要だと思うのですけれども、その点について今後の計画などはありますか。


早坂:4月から学部長の職に就きまして、執行部会議や教授会をとにかく早く済ませようと心掛けたのですが、議論が割れるような事案が多くあり、会議が早く終わるということはなかなかないのが現状です。
 ただ、事務職員のほうでは、たとえば定時に帰る曜日を決めて、実行しているようです。さらに、定時退庁する日をもう一日各自の裁量で設定してみてはどうか、とか、本学夏季休暇に人文独自の休業日を付加して連休を長くしてみてはどうか、といったアイデアが事務サイドから提案されていますので、「ワークライフバランス」の促進という観点から、ぜひ実現したいと考えています。


中島:教員については、いわゆる在宅勤務も文系では多いと聞きます。実際に実行している方はおられますか?


早坂:そうですね、手続きをとれば、いわゆる自宅研修が認められていますので、登録した自宅や、あるいは家族がいる居宅などで自宅研修することは可能です。文系の場合、本1冊あれば仕事ができるところもありますので。


中島:育児中の女性教員の方などにとっては、そういった制度で助かる面もあるのでしょうか。


早坂:プライバシーに関わることではありますが、どちらかというと若手の男性教員のほうでしょうか。会議がどれだけ長引いても、子どもの迎えや、風呂に入れないといけないから6時には帰りますときちんと申告してくださる男性教員もいますし、私のような世代とは違って、好ましい方向性だと思います。そういう申し出があったときには、もう全然問題ないのでと、会議が続いていても退出していただいています。もしかすると、職員の方はそれが言い出しにくいところがあるかもしれませんが。


中島:大学全体でそうかもしれないですね。



[学生へのメッセージ]


早坂:今年の東大の入学式で上野千鶴子さんがお話しされたことは、本当に、ごく当たり前のことだと思います。また、私自身のことで言いますと、子どもが2人いて、上の子が男の子で下の子が女の子です。女の子だから、あるいは男の子だからということをメッセージとして発していないつもりでも、それこそ女の子は赤、男の子は青とかというようなことを、こちらが自然と発してしまってきたかもしれないと思うところはあります。
 おそらく、今、信州大学人文学部で学んでいる女性も、もしかすると、上の世代や社会から、意識的、無意識的なメッセージを常に浴びながら育ってきているのかなと思います。ただ、どんどん時代は変わっていっています。自分のやりたいことをとことんやることは男性女性に限らず必要だと思いますし、それができる空間が人文学部であると思います。私が所属する哲学・思想論分野には、卒論のテーマで同性婚やLGBTの方の権利について扱う学生もいます。みんなが当たり前と思っていて、当たり前すぎて意識もしていないようなことが抱えている様々な問題点に気付けるところが人文学だと思いますので、そういうところでたくさん学んで社会に出て、学んだことをどんどん周りに発信して、これまでの当たり前が実は当たり前じゃなかったということに社会全体で気づいていけるような、そういう社会の担い手になってもらいたいと思います。もしかすると、数年後には男女共同参画というネーミング自体が、LGBTの方たちからしたら問題だということになるかもしれませんよね。そういうようなかたちで社会を変えていく主体になってくれればと思います。


中島:本当に、そう思います。
 多様性というキーワードをもとに考えると、文系の先生方のご専門は幅広く、そして深いテーマがあり、様々な見方を身につけられる学部だなあと感じます。
 また、女性の学部長補佐の話も出ましたけれども、管理職の上のほうに女性教員や職員がいるのが当たり前になって、学生が自然にそういう姿を目にするようになると、加速的に状況が進んでいくのではないかなと思いますね。


本日はありがとうございました。




令和元年5月13日 収録

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