キックオフシンポジウム

基調講演 下水は高度処理して

カリフォルニア大学デーヴィス校名誉教授 浅野 孝氏 カリフォルニア州では、北にあるサクラメントやサンフランシスコなどの水をくみ上げ、南のロサンゼルスやサンディエゴに運んでいます。ほぼ青森から北九州までの距離を導水路で送っているのです。しかしカリフォルニアは渇水が3年続き、平均で69%しか送れていないのが実状です。
 水不足改善のための次の選択肢は、再利用です。私は普段、水の再利用には七つのカテゴリーがあると話しています。
 一つは、農業利用。二つ目が、ゴルフコースやハイウエーの木などにまく水。三つ目は工業用水です。四つ目が景観用水で、五つ目が水洗トイレなど飲用以外の都市再利用。そして、六つ目と七つ目は、地下かん よう水涵養と飲み水です。
 カリフォルニア州では水の再利用の約75%が農業関係に使われています。その他、15%ぐらいが地下水の人工涵養に使われています。飲み水に近い使い方をすることが次の課題になっています。
 健康へのリスクなどもあるので、どんな水源を使って再利用するのかも考える必要があります。疫学的なデータがあるものはまだいいのですが、環境ホルモンなどは、摂取したことで将来どんな病気になるのか分からない。何年か後に発がん物質と分かったときのことを事前に考えないといけません。

 また、より高度な膜処理の技術を使えば、自然水やダムの水に比べてもきれいな水がつくれると実証されています。このCOIを通して革新的な技術が開発されることを願っています。
 これからの下水処理は、海や川に捨てるのではなく、飲み水にするということを考えないといけないと思います。つまり、前処理をしっかりして、処理できないような工場排水は下水の中に入れたら いけないということです。次世代の人たちのためにも、もっと生物に優しく、地球を守る水資源の革新的な技術の開発が望まれます。


基調講演の様子

提案機関

  • 信州大学
  • HITACHI
  • TORAY
  • SHOWA DENKO
  • 独立行政法人 物質・材料研究機構
  • 長野県