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『耐スケーリング性を具備した多層カーボンナノチューブ/ポリアミド複合逆浸透(RO)膜の機能発現メカニズムと性能』をプレスリリースしました

信州大学アクア・イノベーション拠点(COI拠点)が研究開発を進める多層カーボンナノチューブ(MWCNT)-ポリアミド(PA)複合逆浸透(RO)膜において、新たに、無機物が付きにくい「耐スケーリング性」の発現メカニズムを解明し、本研究成果が米国化学誌「ACS OMEGA」に掲載されました。

本拠点では、MWCNT-PAナノ複合RO膜を開発し、高い脱塩率と透水性に加え、2017年9月には有機物であるタンパク質(BSA)の汚れがつきにくい耐ファウリング性を兼備していることを発表しました。
今回はこれに続き、実験と分子動力学法を用いた理論的アプローチにより、目詰まりなどの膜汚染を引き起こす炭酸カルシウム(CaCo₃)など、無機系の汚れが付きにくい現象「耐スケーリング性」の発現メカニズムを解明しました。

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MWCNTがPAに存在することで、①CaCo₃の原因となるカルシウムイオンを膜に寄せ付けない、②膜表面が滑らかになる、③膜表面に薄い水の面が形成され、膜を覆うことでCaCo₃ができにくくなる、などの点が解明されました。さらに、一度付着したCaCo₃が水流により剥がれ落ち、透水性能が自己回復する優れた機能も発見しました。
この成果により、膜のメンテナンスや前処理などの作業を減らし、低コストで環境負荷の少ない海水淡水化システムの実現が期待できます。

記者会見は6月8日午後2時から、信州大学長野(工学)キャンパス内の国際科学イノベーションセンターで開かれ、研究リーダーの遠藤守信・信州大学特別特任教授、サブ研究リーダーの林卓哉・信州大学教授と竹内健司・准教授、Rodolfo Cruz-Silva・信州大学カーボン科学研究所特任教授が、集まった報道機関に説明を行いました。

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プレスリリース及び論文は以下のリンクよりご覧ください。
プレスリリース20180608.pdf
http://doi.org/10.1021/acsomega.8b00601