お知らせ

アクア・イノベーション拠点(COI)第2回シンポジウム 2015年2月4日

約200人が参加、最新の研究開発・社会的ニーズの動向などを議論

信州大学アクア・イノベーション拠点(COI)の第2回シンポジウムが2月4日、長野市のホテルメトロポリタン長野で、県内外から約200人が参加して開かれました。昨年2月のキックオフシンポジウムから1周年となることから開催したもので、水にかかわる研究の第一人者が一堂に会し、造水や水循環にかかわる最新の研究開発や社会的ニーズのトレンドなどを議論しました。

来賓として挨拶に立った文部科学省科学技術・学術政策局次長の岸本康夫氏は、COIプログラムの一つとして信州大学のアクア・イノベーション拠点(COI)が採択されたことに触れ、「信州大学から世界に誇る成果が出ることを期待している」と述べました。COIビジョン3のビジョナリーリーダーである日立製作所顧問の住川雅晴氏も「カーボンを使った耐久性があり、効率の高い膜の完成に向け、着実に進展していくことを期待している」と話しました。

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続いて、招待講演で訪れた水道技術研究センター理事長(東京大学名誉教授)、大垣眞一郎氏は、持続可能な水利用を実現する革新的な技術とシステムの技術開発動向について説明し、「水利用、水資源に関する科学技術とシステムの革新のためには、極めて広範囲の知識と知恵が必要です。社会への深い洞察力も求められます。幅広い分野における、多くの研究者と実務者の真摯な協力が不可欠です」と結びました。

東レ株式会社フェローの栗原優氏は、海水淡水化に使われる逆浸透膜(RO)膜をめぐる約50年の研究開発の歴史や、自らが中心研究者を務めていた内閣府の「最先端研究開発支援プログラム(FIRST)」の"Mega-ton Water System-環境配慮型巨大淡水化技術の実用化システム"の成果を紹介。「東レのモットーでもある、極限状態を追及する「深は新」と「実践先行と温故知新」を大事にするべきだ」と述べました。

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京都大学大学院理工学研究科附属流域圏総合環境質研究センター教授の田中宏明氏は、下水再生水の多様なポテンシャルについて、自らが研究代表者を務めるプロジェクトの中で実証した沖縄県糸満市の下水再生水を農業用水として利用する試みを通して紹介し、「都市の再生水利用は、適切な地域、適切な循環規模、適切な再生水方法の選択が重要です」と述べました。

 また、アクア・イノベーション拠点のプロジェクトリーダー(日立製作所インフラシステム社・技術最高顧問)、上田新次郎氏は海水淡水化、随伴水、かん水の処理というプロジェクトが目指す社会実装の姿を紹介し、「カーボン膜の研究開発はこれから佳境に入るが、しっかりと成果を出せるよう努力していきたい」と述べました。研究リーダーの信州大学特別特任教授、遠藤守信氏も最新の成果の一端を報告し、「これまでの高分子の水分離膜をカーボンに替えて、まさにカーボンファイバーに続く第二のイノベーション創出につなげたい」と決意を述べました。

さらに、信州大学の国際科学イノベーションセンター長、大石修治氏が、国の国際科学イノベーション事業で整備される「国際科学イノベーションセンター」が2015年3月末に完成することを明かし、COI事業と産学官連携の中核拠点として活用していく方針を示しました。
(詳報は別途掲載の予定です)

関連するリンクは以下の通り。

科学技術振興機構の戦略的創造推進研究事業(CREST)
http://www.jst.go.jp/kisoken/crest/

CREST領域「 持続可能な水利用を実現する革新的な技術とシステム」
http://www.water.jst.go.jp/index.html

CRESTプロジェクト「21世紀型都市水循環系の構築のための水再生技術の開発と評価」
http://www.wcs21st.jp/

最先端研究開発支援プログラム(FIRST)
http://www.jst.go.jp/first/about-us/kurihara-masaru.html

FIRSTプロジェクト「Mega-ton Water System-環境・エネルギー配慮型巨大淡水化技術の実用化システム」
http://www.megatonwater.com/index.html

信州大学国際科学イノベーションセンター
http://www.shinshu-u.ac.jp/centerforinnovation/