ごあいさつ

国立大学法人信州大学 学長 濱田 州博国立大学法人信州大学
学長
濱田 州博

信州大学は、山々に囲まれた自然環境を大切にし、人に優しい社会を目指して教育・研究を行い、地域の企業や社会と連携した取り組みを積極的に展開してきました。研究面では、自然との調和のもと、世界に通じる独創的研究を学際的に推進しています。
COIプログラムは、10年後の日本が目指すべき姿を見据えたビジョン主導型の研究開発であり、アクア・イノベーション拠点は「世界中の人々がいつでも十分な水を手に入れられる社会」の構築を目指しております。実現に向けて取り組んでいるのが、革新的な『造水・水循環システム』です。ここでは、本学の強みであるナノファイバー工学や材料科学の研究を中心とした全学の英知を結集するとともに、参画研究機関や企業とのオールジャパンの研究体制を組み、ナノ濾過(NF)膜や逆浸透(RO)膜の研究と同時に、社会実装に向けたモジュール化、システム化を目指しております。一口に社会実装といっても、その場所や目的によって非常に多様で、多様な視点から考える必要があります。このため皆様のご協力・ご支援をよろしくお願い申し上げます。

プロジェクトリーダー 株式会社日立製作所 水ビジネスユニット 技術アドバイザー 都築 浩一プロジェクトリーダー
株式会社日立製作所
水ビジネスユニット 技術アドバイザー
都築 浩一

私たち人間が生きていく上で水は不可欠です。それなのに世界中の40%にも及ぶ人々が水不足に苦しんでいるのが現状です。2015年9月の国連サミットで採択された国際目標「持続可能な開発目標(SDGs)」の中では、2030年までに全ての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する事を目標にしました。この目標を実現するためには、海水、かん水の淡水化や、汚染水の浄化により安心できる水循環システムを構築することが何にもまして重要です。
本COIでは、信州大学を中心に各研究機関、企業が結集して基礎研究から応用開発までを包括的に推進することで、信州大学の突出したナノカーボン技術をベースにした高品質でロバストな分離膜の開発と、これを応用した世界に冠たる革新的造水・水循環システムを構築します。

研究リーダー 信州大学 カーボン科学研究所 特別特任教授 遠藤 守信研究リーダー
信州大学 カーボン科学研究所
特別特任教授
遠藤 守信

21世紀の人類の持続可能性を左右する最重要課題の一つは、水問題です。本プロジェクトは、造水の科学と技術で革新を実現して豊潤な飲料水、産業用水、農・畜産用水を利用可能とし、さらに資源採掘に際しての随伴水処理や海水等からの希少資源回収にも応用展開しようとするものです。
この造水イノベーションに向けて、本拠点ではナノ炭素体によるテーラーメードの革新的ロバスト造水膜とそのデバイス化、造水プラント・システム化、水循環シミュレーション等のR&Dをコンカレントに推進します。信州大学を中心に実績を誇る各参画メンバーがオールジャパン体制で集結し、産官学連携研究を推進します。
本プロジェクトによって世界展開ビジネスモデルを構築し、国内外、地域での新産業の創出に寄与し、もって造水の科学と技術のイノベーションで豊かな地球水世紀の実現を目指します。

サブプロジェクトリーダー 東レ株式会社 水処理事業部門・研究本部 理事 辺見 昌弘サブプロジェクトリーダー
東レ株式会社
水処理事業部門・研究本部 理事
辺見 昌弘

現在、分離膜を使用して年間約200億m³の水が浄化・造水されており、日本の年間水使用量の20%に匹敵します。地球規模で見れば、人口増加、工業化、経済発展から益々水の使用量は増大していくと考えられています。これに伴い、水源は、地下水や河川水・湖沼水から、海水や下水・産業廃水まで拡大しており、良質の水を得ることが難しくなってきています。分離膜を使用した水処理プラントのトラブルの多くは、分離膜の汚れによって運転ができなくなることに起因します。汚れない分離膜を得ることはほぼ不可能であるため、薬品等を用いて洗浄しながら運転することが必要です。即ち、良質の水を低コストで得るための分離膜の課題は、(1)高い透水性能と分離性能の両立、(2)薬品や熱への耐久性であり、さらに将来的には、有価物を回収するための選択分離性能です。ナノカーボン技術は、これら課題を達成するための要素技術であり、本拠点で世界をリードする分離膜技術、モジュール技術、システム技術の開発が期待されます。

昭和電工株式会社 研究開発部管掌 兼 事業開発センター長 中條 哲夫昭和電工株式会社
元・研究開発部管掌 兼 事業開発センター長
中條 哲夫

アクア・イノベーション拠点(COI)の発足にあたり一言ご挨拶を申し上げます。
人類が暮らす地球は水の惑星ですが、実は我々が利用できる水(淡水)は地球上の水の約0.01%にすぎません。
多量にあるようで実は限られた資源である水を人類の発展のために有効に利用する方法を開発することは、この時代に生きる我々の使命であると言えます。
さらに安全な飲用水ですら確保できない人々が世界に大勢いること、水資源が紛争や食料問題等の原因にもなっていることも見逃せない事実です。
今回、信州大学を中心に新しい「造水・水循環システム」の革新的な技術開発を進めることは、これらの問題解決に向けた取り組みとして非常に有意義なものと思います。
弊社もカーボン材料を中心とした技術開発の一翼を担うべく努力して参りたいと思います。

長野県知事 阿部 守一長野県知事
阿部 守一

このたび、信州大学を中心とした「世界の豊かな生活環境と地球規模の持続可能性に貢献するアクア・イノベーション拠点」の提案がCOI中核拠点として採択され、ここ信州・長野県の地に多くの皆様が集まり、国を挙げて先端的な研究開発の取組が始まりますことを心からお祝い申し上げます。
本事業は、県の総合5か年計画「しあわせ信州創造プラン」で掲げている、次世代産業の創出に結び付く取組であり、本県の「貢献」と「自立」の経済構造への転換につながるものとして大いに期待しているところです。
県としても本事業に参画し、円滑な研究開発や早期事業化が図られますよう本拠点と地域企業とのコーディネート活動等を積極的に推進してまいります。
関係各位が益々ご活躍されますとともに、本拠点の研究開発が革新的な成果を生み、未来社会の発展に大きく貢献されますことを祈念申し上げます。