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「市民防災シンポジウムを開催~石橋克彦・神戸大名誉教授が特別講演」  2015年6月28日

2015.07.03 お知らせ

信州大学地域防災減災センターによる市民防災シンポジウム「必ずやってくる大震災に備えて~松代群発地震から50年~」(信州大学、県経営者協会の主催)が6月28日、信州大学長野(工学)キャンパスの国際科学イノベーションセンターで開かれ、市民ら130人が参加しました。シンポジウムは、神戸大学の石橋克彦名誉教授(地震学)の特別講演と、有識者によるパネル討論を通じ、防災・減災について幅広く議論することを目的としています。

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石橋名誉教授は「長野県を中心に、地震と震災を考える」と題して講演しました。



松代群発地震は、1965年から5年ほど比較的小さな地震が多く発生し、皆神山の隆起(90センチ)、地割れ・湧水、地滑りなどの被害をもたらしたとされています。石橋名誉教授はこの群発地震について、「原因は地球深部からの水噴水(炭酸水)によるというのが定説。水圧が高まると滑りやすくなり、地震を起こす原因にもなる」と語りました。

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また、四枚のプレートがせめぎ合う日本列島全体の地震情勢について触れ、「日本で起きる大地震・噴火が、地域に固有の大地の変動の現れである」と述べ、プレート運動が2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)などの大地震を引き起こしていることを説明しました。そのうえで、アムールプレートが少しずつ東に移動していることが、新潟から神戸、島根にかけて分布するアムールプレート東縁変動帯で起きる地震活動の主因であるという自身の仮説を紹介。「長野県はアムールプレート東縁変動帯の真っただ中にあり、顕著な断層活動もある」「最大マグニチュード(=M)9.0クラスと言われる南海トラフの巨大地震だけを警戒するのではなく、その前後に発生する可能性がある直下型地震に注意せよ」と警鐘を鳴らしました。



パネル討論では、石橋名誉教授に加え、信大から笹本正治副学長(歴史学)、赤羽貞幸理事(地質学)、菊池聡教授(心理学)、長野市立博物館の原田和彦学芸員(歴史学)、長野県の野池明登・危機管理監兼危機管理部長が参加し、菊池教授がコーディネータを務めました。

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センター長でもある菊池教授は、「きっと大丈夫」という思い込みや、被災者の心のケアという見地から、センターの運営に貢献する意思を示しました。笹本副学長は、長野県内の各地に残る伝説と過去の災害との関係に着目し、「土石流の災害が過去にあり、人が亡くなっているところに伝説があり、犠牲者を悼み、災害を後世に伝える地蔵が残っている」と述べました。地質構造に詳しい赤羽理事は、「長野県は盆地の底の平坦部に街があり、山と盆地に境界に活断層が多く、土石流の危険地帯が約6000カ所ある」と指摘しました。原田学芸員は、1847年善光寺地震の被害報告が全国各地に残っている理由を、当時の行政の仕組から解明。野池危機管理監は、長野県の防災・減災の取り組みについて説明しました。



 地域防災減災センターは2015年4月、県内にある唯一の国立大学法人として、主体的(組織的、恒常的)に防災減災に取り組む目的で発足。長野県内で大地震や地滑り、集中豪雨、火山噴火などの自然災害が頻発し、人為的な災害も増えている中、研究、教育、地域医療などを通じ、防災・減災に対する全学的な取り組みを進めていく方針です。

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